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《カルタゴを建設するディド》

Dido building Carthage, or The Rise of the Carthaginian Empire
《カルタゴを建設するディド》ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
Wikimedia Commons / ロンドン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
制作年
1815年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
155.5 × 230 cm
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正面の低い太陽が霞の中で輝き、その光が川面にまっすぐ伸びる。両岸には建設中の宮殿や神殿が並び、左の岸では、青い衣の女王ディドが、夫の墓の工事を見に訪れている。

概要

《カルタゴを建設するディド》(英: Dido building Carthage)は、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーが1815年に描いた油彩画である。正式な題は《カルタゴを建設するディド、あるいはカルタゴ帝国の興隆》。縦155.5センチ、横230センチのキャンバスで、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』に着想を得た歴史画で、北アフリカの都市カルタゴを築いた最初の女王ディドを描く。所蔵館によれば、ターナーが17世紀フランスの風景画家クロード・ロランに並ぼうとした最初の作品である。

画面の読み解き

所蔵館によれば、左に立つ青い衣で冠を着けた人物がディドで、亡き夫シュカイオスのために建てられている墓を訪れている。その前に立つ外套と兜の男は、おそらく叙事詩の主人公アエネアスで、ディドはやがて彼と恋に落ちる。女王には黒人の従者と、財布を持つ若い従者が付き従う。画面の中央には、低い太陽が霞の中で白く輝き、その光が水面にまっすぐ映る。左右の岸には、柱廊や凱旋門、浮き彫りで飾った宮殿などの古典的な建物が並び、右奥の崖の上にも神殿が建つ。岸辺や水上には、船や資材、働く人々がひしめいている。

技法・様式

所蔵館によれば、ターナーはとくにクロードの港の絵に倣った。その型では、画面の中央に水平線まで広がる水面があり、両側を古典的な建物と、岸から伸びる高い木が挟み、群衆や港の暮らしの場面が添えられる。ターナーはこの型におおむね従いながら、クロードのより古典的な構図には見られない建築の要素、人々の営み、質感の豊かな細部で画面を満たしている。ディドの姿は、17世紀イギリスの詩人ジョン・ドライデンによる『アエネーイス』の英訳に基づく。恋に溺れて破滅する犠牲者ではなく、「群衆の中を静かに、堂々と歩む」という訳詩のとおりの、力強い統治者として描かれている。

来歴

所蔵館によれば、ターナーは1831年に作った2度目の遺言で、本作を《霧の中を昇る太陽》とともに、当時新しく建てられたナショナル・ギャラリーで、クロードの《港》と《イサクとリベカの結婚のある風景》の隣に「永久に」掛けるよう定めた。ターナーが1851年12月に没したのち、遺言執行者との合意によってその望みどおりに同館に置かれ、遺言をめぐる争いを決着させた1856年3月19日の大法官裁判所の決定で、正式に同館の所蔵となった。所蔵番号NG498。現在は第36室に展示されている。

意義

所蔵館によれば、ターナーはカルタゴの歴史を主題に10点の大作を描き、アエネアスを描いた11点のうち8点がディドとの関わりを主題とする。帝国の興亡は、40年近くにわたって画家が抱き続けた主題で、本作はテート美術館にある《カルタゴ帝国の衰退》と対をなす。こうした絵は連作ではないが、歴史と、人間の大きな野心の興隆と崩壊についての思索であるという。2012年には、同館の「ターナーに刺激を与えたもの——クロードの光のなかで」展でクロードの作品と並べて紹介された。