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《ダナエ》

《ダナエ》アルテミジア・ジェンティレスキ
Wikimedia Commons / セントルイス美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
アルテミジア・ジェンティレスキ
制作年
1612年
素材
銅板 / 油絵具
寸法
41.3 × 52.7 cm

白い枕と赤いビロードの寝台に、目を閉じた裸の女が片腕を頭の上にのせて横たわり、もう一方の手を固く握る。暗い部屋には金色の粒が雨のように降り、右では白い布をかぶった侍女が青い衣を広げて受けとめる。

概要

《ダナエ》(英: Danaë)は、イタリアの画家アルテミジア・ジェンティレスキが1612年頃に描いた油彩画である。縦41.3センチ、横52.7センチの銅板に描かれ、セントルイス美術館が所蔵する。黄金の雨に姿を変えたゼウスがギリシア神話の王女ダナエのもとを訪れる場面を描いた神話画で、館は画家がわずか19歳のときの作とする。

画面の読み解き

館の解説によれば、神託は王女ダナエの産む子が祖父を殺すと告げたため、父は娘を閉じこめて身ごもらないようにした。だが神々の王ゼウスは黄金の雨に姿を変えて閉ざされた部屋に入り、もとの姿に戻ってダナエを身ごもらせる。画面では、金色の髪のダナエが白い枕と赤い布の寝台に裸で横たわり、片腕を頭の上にのせて、眠るように目を閉じる。暗い部屋に降る金色の粒は、肌の上にも落ちる。右では、白い頭巾の侍女が背を向け、青い衣を広げて金貨を受けとめている。その奥には暗い緑の幕が下がる。クリーヴランド美術館の学芸員の論考は、ダナエの表情と固く握られた拳が、父オラツィオの穏やかなダナエには無い、体と心の緊張を生んでいるとする。

技法・様式

銅板に油彩で描かれる。館によれば、アルテミジアは質感をとらえることに秀で、横たわる女の金色の髪、豊かな布、裸の肌に落ちる金属の硬貨にその腕前が表れている。こうした官能的な効果は、ダナエの物語にふさわしい。微妙な肌の色合いや豊かな表面の描き方には、父オラツィオから学んだ技が表れている。同じ論考は、カンヴァスではなく銅板に描かれたことが、作風や技法、色調に影響していると指摘する。横たわる人物は、帰属の議論が続く《クレオパトラの死》の人物ともよく重なる。

来歴

館の来歴によれば、本作は個人の所蔵を経て、1986年2月22日にモンテカルロのサザビーズの競売で、画商ケイト・ガンツが父オラツィオ・ジェンティレスキの作として買った。同年、ロンドンのモートン・モリス社を経て、多くの寄付者の贈与と遺贈を充てた交換によって、同年8月1日に館が購入した。そのときの請求書もオラツィオの作としている。所蔵番号は93:1986で、いまは第238室に展示されている。

意義

クリーヴランド美術館の論考によれば、本作はほぼ一致してアルテミジアの作とされ、1612年頃にローマで描かれたとみられる。父の《ダナエ》よりおよそ10年早く、肌と布の描き方には大きな違いがあり、アルテミジアの布はより硬く、ヒロインの体はより自然に描かれる。論考はまた、同業の画家から暴行を受け、裁判で名誉を攻撃された画家にとって、この主題は痛みを伴う意味をもったはずだとし、本作に苦しい諦め、あるいは抗いを読みとる研究者もいると紹介する。