《赤・青・黄のコンポジション》
正方形の画面の右上を大きな赤の面が占め、太い黒の線が縦と横に一本ずつそれを区切る。左の細い帯には白い面と濃い青の四角が、下の帯には横長の白い面と小さな黄の四角が並ぶ。
概要
《赤・青・黄のコンポジション》(独: Komposition mit Rot, Blau und Gelb)は、オランダの画家ピート・モンドリアンが1930年に描いた油彩画である。縦横とも45センチの正方形のキャンバスで、チューリッヒ美術館が所蔵する。所蔵館によれば、チューリッヒの建築家アルフレート・ロートの求めに応じて描かれた。
画面の読み解き
正方形の画面の右上を、大きな赤の長方形がほとんど占める。赤は画面の上端と右端まで届き、その左と下を、太い黒の線が縦と横に一本ずつ走って区切る。二本の線は画面の左下寄りで交わり、左の細い縦長の帯と、下の横長の帯を切り分ける。左の帯は黒い横の線で上下二つの白い面に分けられ、その下の左隅には濃い青の四角が置かれる。下の帯の大部分は横長の白い面で、右の端には、短い黒の線で区切られた小さな白い面と、黄の小さな四角がある。左下の青の上には「PM 30」の署名が入る。所蔵館によれば、画面は大きな赤の長方形に支配される。1930年ごろにモンドリアンが生み出したこの型では、画面の縁を、さらに区切られた二本の幅広い帯が縁取り、交差する黒い線は中心から大きく外されて左下の隅で出会う。白みを帯びた灰色の面に隔てられた深い青とレモン色の黄が、赤の響きに対する対旋律をなすという。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館は、ヨープ・M・ヨーステンによるモンドリアンの作品総目録を引き、画家がこの絵ののち、黒い線の幅は変えずに、そのつど画面を5センチずつ大きくしながら同じ構成を繰り返したと記す。館によれば、モンドリアンはカンディンスキーと同じく風景画を通して抽象絵画に至ったが、行き着いた先はまったく違った。明暗の対比だけで組み立てたキュビスムの時期を経て、1920年に自らの様式を見いだし、新造形主義と名づけた。画面の構成は、垂直と水平の線、そして赤・青・黄の三原色だけに頼っている。
来歴
所蔵館によれば、裏面にはフランス語で献辞が書かれている。「わが親愛なる友にして同僚アルフレート・ロートに捧ぐ。関係だけを頼みとし、それをつくり出し、芸術と人生においてその均衡を求めること、それこそが今日のすばらしい仕事であり、未来を準備することだ。パリ、1930年1月30日、ピート・モンドリアン」。裏面にはまた、チューリッヒのドルダータール10番地というロートの住所を記した印もある。館の文献目録によれば、1955年に館で開かれたモンドリアン展の図録に102番として載る。1987年にロートから館に贈られた。所蔵番号は1987/0028で、1976年に建築家エルヴィン・ミュラーが手がけた増築棟の展示室に掛かる。日本では2014年、国立新美術館と神戸市立博物館で開かれた「チューリヒ美術館展」の図録に図版が載った。
意義
所蔵館によれば、モンドリアンが目指したのは、無彩色と原色、垂直と水平という、釣り合った対比の配置だった。画家は、一つひとつの造形の要素の絶対的な調和によって「普遍的なもの」を表そうとした。本作は、中心から外した線と縁に寄せた色の面とで画面の釣り合いをとる、1930年ごろの型の一つである。裏面の献辞も、関係と均衡を芸術と人生の両方に求める言葉で結ばれている。