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《大祭司の前のキリスト》

Christus voor de hogepriester
《大祭司の前のキリスト》ヘラルト・ファン・ホントホルスト
Wikimedia Commons / ロンドン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ヘラルト・ファン・ホントホルスト
制作年
1617年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
272 × 183 cm
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夜の部屋で、机の上の一本の蝋燭だけが灯っている。左に座る毛皮の帽子の老人が人差し指を立てて問いかけ、右には白い衣のキリストが手を前で組み、目を伏せて立つ。背後の闇には、男たちの顔がかすかに浮かぶ。

概要

《大祭司の前のキリスト》は、オランダの画家ヘラルト・ファン・ホントホルストが1617年ごろ、ローマで描いた油彩の宗教画である。縦272センチ、横183センチの大きなキャンバスで、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。所蔵館によれば、ローマの収集家ヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニのために描かれたとみられる。

画面の読み解き

所蔵館によれば、描かれているのは、ユダヤの議会であるサンヘドリンでのキリストの裁きとみられる。中央の机に置かれた一本の蝋燭が左右対称の構図の要となり、キリストと、向かいに座る男の顔を照らす。座る男はおそらく大祭司カヤパである。弟子のヨアヒム・フォン・ザンドラルトは主題を「ピラトの前のキリスト」と記したが、1638年のジュスティニアーニ家の財産目録はカヤパとしている。多くの美術史家がカヤパ説をとるのは、夜の場面が、夜のうちにキリストを尋問したカヤパの話に合うからで、蝋燭の奥の二人は、マタイによる福音書に出てくる偽りの証人かもしれない。日本語版ウィキペディアによれば、場面はマタイによる福音書26章57〜64節にもとづく。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、抑えた色調とわずかな光は、ホントホルストがローマに滞在した1610年から1620年の作風を示す。画家はこの時期、カラヴァッジョとその追随者たちに学び、「夜のゲラルド」を意味するゲラルド・デッラ・ノッテの名で呼ばれた。人物を闇から浮かび上がらせる強い明暗は、その名のとおり夜の場面の表現に生かされている。所蔵館は、ジュスティニアーニの収集にあった、ルカ・カンビアーゾによる蝋燭の光の同じ主題の作品との比較も挙げている。

来歴

所蔵館によれば、ジュスティニアーニのために描かれ、1804年にリュシアン・ボナパルトが手に入れるまでローマのジュスティニアーニ宮殿にあった。1820年にルッカ公妃マリア・ルイーザに渡り、その息子の収集を経て1840年にロンドンで売りに出された。第2代サザーランド公爵が買い取ってスタッフォード・ハウスに置き、1913年の第4代公爵の売り立てまでそこにあった。1922年、同館がアート・コレクターズ・アソシエーションから購入した。所蔵番号はNG3679。

意義

ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アートによれば、ホントホルストはローマで、カラヴァッジョの写実と劇的な明暗を取り入れた。ジュスティニアーニ宮殿に住み、カラヴァッジョやアンニーバレ・カラッチの作品を間近に見ることができ、枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼやトスカーナ大公コジモ2世らを顧客とした。批評家ジュリオ・マンチーニは、その絵が高値で売れたと記している。本作は、そのジュスティニアーニのためにローマで描かれた、縦2.7メートルを超える夜の場面である。