《馬上のチャールズ1世とサン・アントワーヌの領主の肖像》
- 作者
- アンソニー・ヴァン・ダイク
- 制作年
- 1633年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 370 × 270 cm
- 所蔵
- ロイヤル・コレクション (RCIN 405322)
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- フランドル・バロック絵画
凱旋門の下を、鎧をまとった王が白馬に乗ってこちらへ進み出る。手には指揮杖を持ち、胸にはガーター勲章の青い綬をかける。右では従者が兜を抱えて王を見上げ、左下には王冠をいただく王家の紋章の盾が立てかけられている。
概要
《馬上のチャールズ1世とサン・アントワーヌの領主の肖像》は、フランドル出身の画家アンソニー・ヴァン・ダイクが1633年に描いた油彩の肖像画である。縦370センチ、横270センチの大きなキャンバスで、英国王室のロイヤル・コレクションに属する。所蔵館によれば、1632年にチャールズ1世の首席画家に任じられたヴァン・ダイクは、肖像画に専念することを求められ、本作はその任命から生まれた主要な作品の一つである。この任命はイギリスの絵画を一変させ、ステュアート朝の宮廷の不朽の姿を後世に伝えた。
画面の読み解き
所蔵館によれば、ヴァン・ダイクはここで、古代とルネサンスの騎馬像の長い伝統に連なり、チャールズ1世を統治者、戦士、騎士として、かつてない大きさで描いた。王冠をいただく王家の紋章と、武装した王を縁取る凱旋門は、グレートブリテンの統治者としての姿を強める。一方、王の繊細な顔立ち、ほどいた髪、鎧の上にかけたガーター勲章の綬は、騎士道の騎士の印象を伝える。兜を捧げるのは、馬術の名手ピエール・アントワーヌ・ブルダン、サン・アントワーヌの領主である。1603年にフランス王アンリ4世から6頭の馬とともにジェームズ1世のもとへ遣わされ、以後ヘンリー王太子、続いてチャールズ1世に馬術師範・主馬頭として仕えた。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、画家も王もティツィアーノの作品を愛し集めたが、より直接の影響は、チャールズが王太子時代の1623年にスペインを訪れた際に見たはずの、ルーベンスによる1603年の《レルマ公騎馬像》(プラド美術館)である。見上げる従者に対し、王の落ち着いた姿勢が、バロックの動きに満ちた場面を安定させている。巧みな馬術は徳の極みとみなされていた。
来歴
所蔵館によれば、チャールズ1世のために1633年に描かれた。ヴァン・ダイクは、セント・ジェームズ宮殿のギャラリーの突き当たりに掛けることを想定して構想した可能性があり、その劇的な効果は訪れる人々を感嘆させた。1652年12月22日、旧王の財産を売る管財人によって150ポンドと評価されて売られ、1660年の王政復古でチャールズ2世のもとに戻った。19世紀の大半はウィンザー城に掛けられていた。所蔵番号はRCIN 405322。
意義
所蔵館によれば、ヴァン・ダイクはその後、馬とともに王を描いた主要な肖像をさらに2点手がけた。ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《チャールズ1世騎馬像》(1636〜38年頃)と、ルーヴル美術館の《狩り場のチャールズ1世》(1635年頃)である。日本語版ウィキペディアによれば、本作はヴァン・ダイクが描いたチャールズ1世の最初の騎馬肖像画である。