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《アリス》

《アリス》アメデオ・モディリアーニ
Wikimedia Commons / デンマーク国立美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
アメデオ・モディリアーニ
制作年
1918年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
78.5 × 39 cm
時代
20世紀
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水色の服を着た少女が、膝の上で両手を組み、こちらを向いて座っている。長い黒髪が肩から胸へ流れ、胸もとには小さな十字架が下がる。左上に「ALICE」、右上に画家の署名が書き込まれている。

概要

《アリス》(英: Alice)は、アメデオ・モディリアーニが1918年頃に描いた油彩画である。縦78.5センチ、横39センチ。コペンハーゲンのデンマーク国立美術館が所蔵する。アリスという名の少女を、高さが幅の2倍ほどある細長い画面に、真正面から描いた肖像である。所蔵館は、この作品を描いたころには、モディリアーニ特有の人物の様式がすでに完全にできあがっていたと解説している。

画面の読み解き

少女は画面のほぼ中央に、体をまっすぐこちらへ向けて座る。水色の服は肩から袖が大きく広がり、襟もとと袖口に白い縁飾りがつく。白い立ち襟の下には、小さな金色の十字架が下がっている。両手は膝の上で指を絡めて組まれ、腕とともにV字をつくる。黒く長い髪は中央で分けられて肩から胸へ流れ、向かって右の耳の上には白いリボンが結ばれている。顔は細長い卵形で、鼻筋が長く、口は小さい。モディリアーニはしばしば目を瞳のない色面で塗りつぶしたが、ここでは両目に瞳が描き込まれている。背景は暗い灰青色で、右端に一段と暗い縦の帯が走る。左上に大文字で「ALICE」、右上に「Modigliani」の署名がある。

技法・様式

所蔵館によれば、少女は厳密な正面向きで描かれ、幾何学的な秩序にしたがって画面に配置されていて、それが静けさと調和を生んでいる。アフリカの仮面と中世の美術は、モディリアーニの絵の重要な源泉だった。そこから彼は、単純化され引き伸ばされた形による独自の絵の言葉を築き、本作ではその形が、縦に高く細い画面によってさらに強められている。顔や服には、絵具を重ねた筆の跡がはっきりと残る。細い輪郭線で形を囲み、その内側を平らな色で満たす描き方に、彫刻で得た形の扱いが生きている。

来歴

所蔵館は制作年を1916年から1919年の幅でとらえ、1918年頃と推定している。館の記録によれば、デンマークの画家V・ヴィルスの手もとにあったものを、収集家ヨハネス・ルンプが買い取って同館に贈った。ルンプは1928年、マティス、ピカソ、ドラン、ブラックらのフランス近代美術のコレクションを同館に寄贈しており、本作もその受け入れの一点として記録されている。所蔵番号KMSr145。1996年から翌年にかけてオーフスのアロス美術館で、2003年にはアメリカのキンベル美術館とロサンゼルス・カウンティ美術館を巡回した「モディリアーニとモンパルナスの画家たち」展で展示された。

意義

モディリアーニは、20世紀前半のパリに国外から集まった画家たち、いわゆるエコール・ド・パリを代表する一人で、ほとんど人の姿だけを描き、とりわけ肖像で知られる。所蔵館は、彼の奔放な暮らしと早すぎる死が、20世紀初めのパリに生きた芸術家たちのボヘミアン生活という神話を形づくるうえで大きな役割を果たしたと述べる。本作はそうした伝説とは対照的な、静かで端正な正面像であり、同館の代表的な所蔵品を紹介する2005年の図録『SMK highlights』でも取り上げられている。