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《神の仔羊》

Agnus Dei
《神の仔羊》フランシスコ・デ・スルバラン
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フランシスコ・デ・スルバラン
制作年
1635–1640年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
37.3 × 62 cm
所蔵
プラド美術館 (2026年10月7日〜2027年1月25日はルーヴル美術館の「Zurbarán」展に貸出)
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暗い背景の前、灰色の台の上に、四本の足を紐で縛られた子羊が横たわる。白い羊毛の一房一房が光を受けて浮かび上がり、子羊は台にあごをのせて、静かに目を伏せている。

概要

《神の仔羊》(羅: Agnus Dei)は、スペインの画家フランシスコ・デ・スルバランが1635年から1640年頃に描いた油彩画である。縦37.3センチ、横62センチの小さなキャンバスで、プラド美術館が所蔵する。足を縛られて台に横たわる一頭の子羊だけを描いた作品で、題はキリストを指す「神の仔羊」を意味する。

画面の読み解き

所蔵館によれば、暗い背景と灰色の台だけを舞台に、生後8〜12か月ほどのメリノ種の子羊がただ一つの主題として描かれる。子羊はまだ生きているが、足を縛られて横たわり、まぎれもない生贄の姿勢をとる。その姿は、ローマのサンタ・チェチーリア聖堂にあるステファノ・マデルノの胸を打つ彫刻《聖チェチーリア》のような、殉教した聖人の名高い像を不思議と思わせるという。子羊は頭を左に向けて台にあごをのせ、目を伏せている。頭には巻いた角が生え、前脚と後脚は交差させて紐で結ばれる。所蔵館によれば、子羊は自らの死の運命をおとなしく受け入れているように見える。館のやさしい解説は、この子羊を、十字架の上での犠牲を待つイエス・キリストの象徴とする。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、画家は比類のない質感の再現力と、計算され方向づけられた光がつくる広い影、細やかな技法によって、見る者の注意を子羊に集める。ロンドン・ナショナル・ギャラリーの展覧会の紹介によれば、スルバランは小さく繊細な筆触で羊毛を見事な写実で描き、強い光が画面の錯視の効果を高めている。暗がりから主題だけを光で浮かび上がらせる描き方はテネブリズムに通じ、ルーヴル美術館の展覧会の紹介も、画家ははじめカラヴァッジョ派とみなされていたとする。

来歴

所蔵館によれば、ソコロ侯爵家の収集にあり、1986年にマドリードの競売会社ドゥラン・スバスタス・デ・アルテで購入されて、1987年に所蔵館に入った。所蔵番号はP007293。2026年5月から8月にかけてロンドン・ナショナル・ギャラリーの展覧会「スルバラン」に出品され、2026年10月7日から2027年1月25日まではルーヴル美術館の同じ展覧会に貸し出されている。

意義

所蔵館によれば、同じ主題の作はほかにもあり、図像に違いのある版がいくつも残ることは、こうした絵がおそらく個人の注文主に好まれたことを示す。そのうち3点には1631年、1632年、1639年の年記がある。所蔵館は自館の版を、技術の確かさと描写力と表現力、そして最も細やかな感情を最もよく兼ね備えた、5点の中で最も優れたものとみる。1724年、画家で著述家のアントニオ・パロミーノは、「セビーリャのある愛好家はこの画家の手になる、実物を写した子羊を持っており、生きた雄羊100頭より値打ちがあると言っている」と書き残した。