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《羊飼いの礼拝》

Adoración de los pastores
《羊飼いの礼拝》エル・グレコ
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
エル・グレコ
制作年
1612–1614年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
319 × 180 cm
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洞窟のような暗く狭い空間で、聖母マリアが膝の上の裸の幼子イエスを示し、聖ヨセフと三人の羊飼いが身をかがめて祈る。幼子の放つ光が人々の顔を照らし、手前には牛がひざまずく。頭上では天使たちが銘の帯を掲げて舞う。

概要

《羊飼いの礼拝》(西: Adoración de los pastores)は、トレドで活動した画家エル・グレコが1612年から1614年に描いた油彩画である。縦319センチ、横180センチ。生まれたばかりのイエスを羊飼いたちが拝みに来る場面を描く。トレドのサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ修道院の聖堂で、画家一家の墓所を飾るために描かれた。所蔵館のプラド美術館は、1614年4月7日に没した画家の手から生まれた最後の傑作とする。

画面の読み解き

所蔵館によれば、場面は夜で、背景に二つの半円アーチがのぞく、洞窟のような狭く不規則な空間に置かれる。膝に裸の幼子を抱く聖母を、聖ヨセフと三人の羊飼いが囲んで祈り、ひざまずいた牛が誕生を見守る。頭上では天使の群れが天の円天井のように舞い、「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和」というラテン語の銘を記した帯を掲げる。日本語版ウィキペディアによれば、人物は幼子と聖母の頭を二つの焦点とする大きな卵形にまとめられ、画面手前の羊飼いは画家自身の姿ともいわれる。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、幼子は強い光を放ち、それを見つめる小さな群れを照らし出す。この主題をめぐる1597年から1605年の取り組みが、ここで形の上の純化に達したという。日本語版ウィキペディアによれば、唯一の光源である幼子からの光が地上の人々と天使に反響する一方、人物の外縁はほとんど闇に沈み、劇的な明暗の対比(キアロスクーロ)が幻想的な気配を生む。画家は、神を光の源とするロマッツォの光の理論に親しんでいた。

来歴

所蔵館によれば、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオは、エル・グレコが1577年にスペインで最初の注文を受けた修道院である。1612年8月、画家の息子ホルヘ・マヌエルと修道院との取り決めで、聖堂の正面の一画が一家の墓所に譲られ、一家はその整備と装飾を負担することになった。しかし画家の死から4年後の1618年、意見の食い違いから取り決めは解消され、修道女たちは遺骸の移葬を求めたが、絵は聖堂に残った。1954年に国が買い上げてプラド美術館に入った。所蔵番号は P002988。現在は009B室に展示されている。

意義

所蔵館によれば、本作は、現在ブカレストにあるドニャ・マリア・デ・アラゴン学院の祭壇衝立の作、バレンシアのパトリアルカ学院の作、イリェスカスの慈善施療院の作と続いた同じ主題の展開の到達点である。ニューヨークのメトロポリタン美術館には、ほぼ同じ時期に描かれたとみられる、わずかに異なる工房の作がある。2014年にトレドで開かれた展覧会「トレドのギリシャ人」や、2025年にプラド美術館で開かれた「エル・グレコ サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ」展にも出品された。マニエリスムの画家とされるエル・グレコの、最晩年の作である。