《人生の踊り》
- 作者
- ニコラ・プッサン
- 制作年
- 1634–1636年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 82.5 × 104 cm
- 所蔵
- ウォレス・コレクション
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- 古典主義
野外で、色とりどりの衣の四人が手をつないで輪になって踊る。右では翼のある老人が竪琴を弾き、その足もとの幼子は砂時計を、左の幼子はシャボン玉を吹く。左端には二つの顔の柱像が立ち、空を太陽の車が駆ける。
概要
《人生の踊り》は、フランスの画家ニコラ・プッサンが1634年から1636年頃に描いた油彩の寓意画で、ロンドンのウォレス・コレクションが所蔵する。館の記録では縦82.5センチ、横104センチのキャンバスで、館のビリヤード室に展示されている。館によれば、パリで修業したのちローマで画業の大半を過ごしたプッサンが、ローマのジュリオ・ロスピリオージ(のちの教皇クレメンス9世)のために描いた。
画面の読み解き
館の解説によれば、四季を表す人物たちが輪になって、翼のある「時」の老人が奏でる竪琴に合わせて踊る。ふつうは女性の姿で表される秋が、ここでは酒の神バッコスとして描かれている。シャボン玉を吹く幼子と砂時計を持つ幼子は、人の命のはかなさを示す。若いバッコスと年老いたバッコスの二つの顔を持つ柱像は、老いた顔を踊りに向け、若い顔を画面の外の未来に向ける。空では太陽神アポロンが車で朝の空を駆け、前を曙の女神アウロラが、後ろを時の女神たちが行く。
技法・様式
館によれば、構図の正確な意味は分かっていない。主題はもともと、クロード・ボワテ・ド・フラウヴィルの『ディオニュシアカ』の一節に由来する。そこでは、四季の訴えを受けて、ユピテルが人の苦しみを和らげるためにバッコスとその贈り物のぶどう酒を与えたと語られる。しかし踊る人物たちは、やがて、貧困から労働へ、富へ、そして快楽へと移り、快楽におぼれればまた貧困に戻るという、人のありさまの終わりない循環を表すものとして広く受け取られるようになった。
来歴
館によれば、本作はロスピリオージのローマの邸宅にあり、1713年を最後に記録が途絶える。のちにナポレオンの叔父フェッシュ枢機卿が買い、1845年にその売立で第4代ハートフォード侯爵が購入した。所蔵番号はP108。2021年、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの展覧会「プッサンと踊り」のため、ウォレス・コレクションは121年の歴史で初めて本作を館外に貸し出した。
意義
ナショナル・ギャラリーの報道資料は、本作をプッサンの最も名高い踊りの絵とし、1951年から1975年に刊行されたアンソニー・パウエルの12巻の連作小説『時の音楽に合わせて踊る』の題のもとになったと紹介している。