《剣を持ってポーズをとるウィレム・ファン・ヘイトゥイセン》
- 作者
- フランス・ハルス
- 制作年
- 1625年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 204.5 × 134.5 cm
- 所蔵
- アルテ・ピナコテーク
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- オランダ黄金時代の絵画
宮殿のような柱と赤紫の垂れ布を背に、つば広の帽子に白い襞襟の男が、剣の切っ先を地に突き、もう一方の手を腰に当てて胸を張る。足もとにはバラが落ち、左の奥には庭園がのぞいている。
概要
《剣を持ってポーズをとるウィレム・ファン・ヘイトゥイセン》は、オランダの画家フランス・ハルスが1625年頃に描いた油彩の肖像画である。縦204.5センチ、横134.5センチ。ハールレムの裕福な布商人ウィレム・ファン・ヘイトゥイセンを、等身大の全身像で描く。所蔵館によれば、ハルスの全身・等身大の肖像として知られる唯一の作品で、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークが所蔵する。
画面の読み解き
館の解説によれば、裕福な布商人は、宮殿のような建築と垂れ布を背に、芝居がかったポーズで描かれている。人に強い印象を与えようとする腰に当てた手の仕草や、剣、襞襟、レースの袖口は、もっぱら見る者への印象を高めるための道具立てだという。日本語版ウィキペディアによれば、男は左足を前に出し、体を4分の3ほど左へ向けながら、顔はほぼこちらを向く。右手で剣の柄を握って切っ先を地につけ、左手を腰に当てる。つば広の帽子、レースで縁取った白い襞襟、濃い色の豪華な衣装をまとい、左の奥には庭園が、手前にはバラがのぞく。バラは地上の生のはかなさを思わせるものとされる。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。日本語版ウィキペディアによれば、かつては1635年頃の作とされたが、美術史家シーモア・スライヴは1989年のハルス展の図録で、10年早い1625年の作だと論じた。クラウス・グリムは、垂れ布の色合いがハルスの《アレッタ・ハネマンスの肖像》のドレスに似ているとして、両作を同じ年の作とみる。ヘイトゥイセンは布商人で、生涯結婚しなかった。画中の布地や衣装は彼の商いの品とも考えられ、本作は富の源と、独身の男としての自分の姿を示すものと解釈されている。ハルスの夫婦の対の肖像では、左を向く妻の像を右側に置くのが通例で、左を向く本作は対の一点ではないとみられている。
来歴
日本語版ウィキペディアによれば、最初の記録は1789年、アドリアーン・ロースイェスがハルスを讃えた詩で、当時はヘリット・ウィレム・ファン・オーステン・デ・ブロインのコレクションにあった。その後リヒテンシュタイン侯爵家に入り、館によれば、1969年にファドゥーツのリヒテンシュタイン侯フランツ・ヨーゼフ2世のコレクションから購入された。館の上階の第5室に展示されている。所蔵番号は14101。
意義
館は本作に、成立して間もないオランダ共和国の市民の自信が表れているとする。日本語版ウィキペディアによれば、同時代の画家ユディト・レイステルは剣を杖に替えた写しを描き、後世にはこのポーズをまねて衣装を着けた人々もいた。近年では、アメリカの画家ケヒンデ・ワイリーが、同じポーズの若い黒人男性を描いている。