《威嚇する白鳥》
- 作者
- ヤン・アセリン
- 制作年
- 1650年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 144 × 171 cm
- 所蔵
- アムステルダム国立美術館
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- オランダ黄金時代の絵画
夕空を背に、大きな白鳥が翼をいっぱいに広げ、くちばしを開いて身構える。左下の水際からは犬が顔を出し、右の草むらの巣には卵がのぞく。白鳥の足もと、犬の上、卵には、のちに書き込まれた文字が見える。
概要
《威嚇する白鳥》(蘭: De bedreigde zwaan)は、オランダの画家ヤン・アセリンが1650年頃に描いた油彩画である。縦144センチ、横171センチ。翼を広げ、犬から巣を守る白鳥を描く。アムステルダム国立美術館が所蔵し、館の「名誉の間」に展示されている。館によれば、のちに政治的な寓意画として読まれ、1800年、国立美術館の前身である国立美術画廊の最初の購入作となった。
画面の読み解き
館によれば、白鳥は犬から巣を激しく守っている。日本語版ウィキペディアによれば、白鳥は実物大のコブハクチョウで、丸く膨らんだ羽と低い視点が、その必死の姿を強めている。夕空を背に大きく翼を広げ、くちばしを開いて威嚇する白鳥に対し、左下の水際からは犬が顔をのぞかせ、右の巣には卵が見える。画面には三つの文字が書き込まれている。所蔵館によれば、白鳥の足もとに「大首長(ラートペンシオナーリス)」、卵の上に「ホラント」、犬の上に「国家の敵」とある。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれ、「JA」の署名がある。館の素描目録の画家解説によれば、アセリンはイタリアとフランスから1647年に帰国したのち、ほとんどイタリア風の風景画だけを描き、例外はわずかな動物画と、いくつかの出来事を描いた絵だった。本作は、その数少ない動物画の一つである。大画面いっぱいに白い羽を広げた白鳥を、暗い空と草むらに浮かび上がらせている。
来歴
所蔵館によれば、1800年6月11日に購入された。日本語版ウィキペディアによれば、1790年代にはアムステルダムの収集家ヤン・ヒルデメーステルの収集にあり、1800年の彼の遺産競売の目録には「大首長デ・ウィットの寓意」と記されていた。画商コルネリス・セビーレ・ロースが、アレクサンデル・ホーヘルのためにハーグの国立美術画廊に100ギルダーで買い取り、画廊の最初の購入品として記録された。所蔵番号は SK-A-4。
意義
所蔵館によれば、後の世紀に、白い白鳥は1672年に殺害されたオランダの政治家ヨハン・デ・ウィットを、国を敵から守る姿として表すと解されるようになり、1800年の購入の際にもこの意味が添えられていた。日本語版ウィキペディアによれば、書き込みは後世に加えられたものと推測されている。アセリンは1652年に没しており、デ・ウィットの死より前だからである。オランダ黄金時代の絵画の動物画が、のちに国の象徴として読み替えられた例である。