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《放蕩息子の帰還》

De terugkeer van de verloren zoon
《放蕩息子の帰還》レンブラント・ファン・レイン
Wikimedia Commons / エルミタージュ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
レンブラント・ファン・レイン
制作年
1668年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
262 × 205 cm
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レンブラントが死の直前に描いた大画面の宗教画。財産を使い果たして戻った弟が父の前にひざまずき、父は両手をその背に置く。ルカによる福音書のたとえ話を、赦しの一瞬に絞って描いている。

概要

《放蕩息子の帰還》(蘭: De terugkeer van de verloren zoon)は、レンブラント・ファン・レインが1668年頃に描いた油彩画である。縦262センチ、横205センチ。サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が所蔵する。主題は『新約聖書』「ルカによる福音書」15章のたとえ話で、画家の最晩年、1669年の死から2年以内に仕上げられたとみられている。

来歴

レンブラントはこのたとえ話に長く惹かれ、1636年のエッチング、1642年の素描など、数十年にわたって同じ主題を手がけた。本作は18世紀にケルン大司教で選帝侯のクレメンス・アウグスト・フォン・バイエルンのコレクションにあったことが知られ、その後パリの個人蔵を経て、1766年にエルミタージュの所蔵となった。受入番号はГЭ-742。ソ連時代の1970年には本作を図柄とする切手も発行されている。

画面の読み解き

弟は破れた衣をまとい、剃り上げた頭を父の胸に埋めてひざまずく。左足は裸のままで、脱げた履物が足元に転がる。父は目を伏せ、赤い外套を広げるようにして両手を息子の背に置く。左手は大きく骨ばり、右手は小さく柔らかい。この左右の違いに、父性と母性の両方を読み取る解釈が重ねられてきた。画面右端で杖を持ち、手を組んで立つ赤い外套の男が兄である。奥の暗がりには、たとえ話に登場しない人物——左上の女性と、腰掛けた身なりのよい男——が置かれ、その正体は定まっていない。

技法・様式

色は赤、黄土、褐色にほぼ絞られ、光は父と息子だけに集まって周囲は深い闇に沈む。キアロスクーロを語りの道具として使いきった画面である。弟の衣や父の手は絵具を厚く盛るインパストで、近づくと筆やへらの跡が残る一方、離れると質感として立ち上がる。輪郭を追わず、光と絵具の厚みだけで形をつくる晩年の描き方がここに極まっている。

意義

美術史家ケネス・クラークは本作を「これまでに描かれた最も偉大な絵」と呼びうる作品と評した。ヤーコプ・ローゼンベルクは、キリスト教の憐れみの思想を並外れた厳粛さで解いた「記念碑的」な画面とし、H・W・ヤンソンはレンブラントの最も静かな絵と書いている。オランダの司祭ヘンリ・ナウエンは1986年にこの絵の前で長い時間を過ごし、たとえ話と本作を下敷きにした『放蕩息子の帰還』(1992年)を著した。