《夜警》
- 作者
- レンブラント・ファン・レイン
- 制作年
- 1642年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 379.5 × 453.5 cm
- 所蔵
- アムステルダム国立美術館 (アムステルダム市の所蔵品を1808年から長期貸出)
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- オランダ黄金時代の絵画
黒い服に赤い帯を締めた隊長が手を差し出し、淡い黄色の服の副官に出発を告げる。背後では銃を構える者、旗を掲げる者、太鼓を打つ者が入り乱れ、光の中に金色の服の少女が浮かび上がる。
概要
《夜警》(蘭: De Nachtwacht)は、レンブラント・ファン・レインが1642年に描いた油彩画である。縦379.5センチ、横453.5センチで、切り詰められたのちに残る元の画布は縦363センチ、横438センチ。アムステルダム国立美術館が、アムステルダム市からの貸与を受けて展示している。館の登録名は「フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副官が率いるアムステルダム第2区の士官と市民隊員、通称『夜警』」。町の防衛と治安を担った市民隊の集団肖像画で、所蔵館は画家の作品のうち最も大きく、最も名高い画布とする。オランダ黄金時代の絵画を代表する一点である。
画面の読み解き
アーチのある建物の前に、武装した市民隊の男たちがひしめく。中央手前では、黒い服に赤い帯を肩からかけ、白い大きな襟をつけた隊長バニング・コックが左手を差し出し、隣を歩く副官ファン・ライテンブルフに語りかける。副官は金糸の飾りのある淡い黄色の服に白い帯を締め、手に儀礼用の槍を持つ。左では赤い服の男が銃に弾を込め、その後ろの光の中に、金色の服の少女が現れる。館の解説によれば少女は隊の象徴で、腰には死んだ鶏が下がる。左上では旗手が旗を掲げ、右端では鼓手が大きな太鼓を打ち、その足もとで犬が吠える。右奥には何本もの槍が斜めに立ち、アーチの脇の楯形の飾りには隊員の名が並ぶ(のちに書き加えられたとみられる)。画面下の左寄りに「Rembrandt f 1642」の署名がある。
技法・様式
所蔵館は、集団肖像の人物に実際の動きを与えたのはレンブラントが初めてだったと解説する。隊長が副官に行進を始めるよう命じ、隊員たちが隊列を整えようとする一瞬がとらえられている。光は隊長の差し出す手や少女など特定の部分に当てられ、画面の大半を占める暗がりとの対比(キアロスクーロ)が、動きと奥行きを生む。「夜警」という呼び名は18世紀末から記録に現れるもので、厚く黒ずんだワニスのために夜の場面と誤解されたことによる。
来歴
市民隊の火縄銃手組合の会館クローフェニールスドゥーレンの大広間のために、描かれた隊員たちの注文で制作された。1715年に市庁舎(現在のダム広場の王宮)の小作戦会議室へ移された際、壁に収まらなかったため周囲が切り詰められ、左で64.4センチ、上で23.3センチ、下で11.3センチ、右で7センチが失われた。左端にいた2人の隊員と幼い子どもの姿も消えている。切り詰められる前の構図は、1642年から1655年ごろにヘリット・ルンデンスが描いたとみられる模写(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)で知られる。1808年からアムステルダム市の所蔵品として同館に貸与されている。所蔵番号SK-C-5。
意義
館は2019年夏、この作品について過去最大規模の調査と修復「オペレーション・ナイトウォッチ」を始めた。2021年6月からは、ルンデンスの模写をもとに人工知能を用いて復元した失われた部分を、画面の周りに一時的に添えて展示している。注文による集団肖像画の枠の中に、物語画のような動きと光の劇を持ち込み、整列した隊員を描き並べる市民隊の肖像画の伝統を大きく変えた作品である。