《赤のハーモニー》
- 作者
- アンリ・マティス
- 制作年
- 1908年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 180.5 × 221 cm
- 所蔵
- エルミタージュ美術館
- 時代
- 世紀末〜ポスト印象
部屋いっぱいの赤の中で、髪を結った女が果物を皿に盛りつける。卓布と壁は同じ赤に塗られ、青い唐草と花籠の模様が両方を一続きに覆う。左の窓の外には、白い花の木と緑の庭、青い空が広がる。
概要
《赤のハーモニー》(仏: La Desserte (Harmonie rouge, La Chambre rouge))は、フランスの画家アンリ・マティスが1908年の春から夏に描いた油彩画である。縦180.5センチ、横221センチのキャンバスで、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が所蔵する。「赤い部屋」の別名でも知られる。
画面の読み解き
ニューヨーク近代美術館の1992年の回顧展の解説によれば、マティスは画面の大部分を、ひと続きの鮮やかな一つの色面で塗り、自由に曲がる線の模様で飾った。その模様ははじめ卓布の柄に見えるが、卓の縁で途切れたあと壁へと上り、右の女を取り囲む。同じ線が、卓布にも壁紙にも、花瓶の花にも窓の外の自然にもなる。右の女は果物を皿に盛り、卓上にはガラスの水差しや果物、花が置かれる。左には藁の座面の椅子があり、窓の外には白い花をつけた木々と緑の庭、ピンクの家が見える。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれ、左下に署名と年記がある。同解説は、本作が1897年の《食卓》を描き直したもので、家庭の室内と仕事に没頭する女という主題を受け継ぎながら、色と線の役割を大胆に考え直し、絵画とは何かを定義し直していると述べる。奥行きを示す陰影はほとんどなく、赤の平面に青い唐草、黄色や緑の果物が平らに置かれる。同じ年にマティスは「画家のノート」で、均衡と純粋さ、静けさの芸術を夢見ると書いている。
来歴
本作はロシアの収集家セルゲイ・シチューキンが所有した。ルイ・ヴィトン財団の展覧会資料によれば、シチューキンはモスクワのトルベツコイ宮殿に38点のマティスを集め、1914年には本作を、《画家のアトリエ(バラ色のアトリエ)》《画家の家族》とともに控えの間に掛けていた。1918年10月29日の命令で収集は国有化され、近代西洋美術館を経て、1948年3月6日の同館の解体により、エルミタージュ美術館に移った。
意義
ニューヨーク近代美術館の解説は、マティスがこの時期、彼の芸術を最も特徴づける鮮やかな色と装飾的な模様の使い方を自信をもって推し進めたとし、本作をその例に挙げる。翌1909年にシチューキンは、邸宅の階段のための大きな装飾画《音楽》と《ダンス》を注文し、二つは1910年のサロン・ドートンヌで騒ぎを起こしたのち、邸宅に掛けられた。