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《建築家の夢》

The Architect's Dream
《建築家の夢》トマス・コール
Wikimedia Commons / トレド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
トマス・コール
制作年
1840年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
134.6 × 213.5 cm
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巨大な記念柱の上で、建築図集にもたれた建築家が夢を見ている。その眼下に、霞む遠くのピラミッドから、光を浴びるギリシャとローマの神殿、影に包まれたゴシックの教会まで、時代の違う建物が水辺に連なる。

概要

《建築家の夢》(英: The Architect's Dream)は、トマス・コールが1840年に描いた油彩画である。縦134.6センチ、横213.5センチのキャンバスで、アメリカ合衆国オハイオ州のトレド美術館が所蔵する。古代エジプトからゴシックまでの建築を一つの画面に並べた空想の風景で、所蔵館によれば、19世紀の建築家たちが手本とした様式の連なりを示している。ハドソン・リバー派の祖とされる画家が、建築家イシエル・タウンの注文に応えて描いた。

画面の読み解き

所蔵館によれば、霞む遠景に、エジプトのピラミッドがエジプトの神殿の上にそびえる。二つのギリシャ神殿は付け柱の壁で結ばれ、その上には、ローマの水道橋と円形の神殿が、ギリシャ建築を土台にして建つ。手前の森からは、ゴシックの教会が立ち上がる。夢を見る建築家は、巨大な建築図集の上に横たわり、その下の記念柱には、画家の名と注文主タウンの名が刻まれている。所蔵館が Google Arts & Culture に寄せた解説によれば、ギリシャとローマの建物が光を浴びるのに対し、大聖堂は影に包まれ、中世の信仰の神秘を思わせる。遠くの建物ほど空気遠近法で淡く霞み、水の上には帆船や小舟が行き交う。画面の両端では、太い柱と緑の垂れ幕が、舞台の幕のように景色を縁取っている。

技法・様式

同じ解説によれば、建物は時代の順に並ぶ。最も古いのは古王国時代のピラミッドで、新王国時代の神殿、ドーリア式とイオニア式のギリシャ神殿(イオニア式の神殿にはアテナの像が立つ)、コリント式のローマの神殿と水道橋が続く。手前のゴシックの大聖堂は、イングランドのソールズベリー大聖堂に似ている。コールは1832年に南イタリアのパエストゥムでギリシャの神殿を見ており、自らを「風景に建築や歴史などを交えて描く」画家と称していた。所蔵館によれば、タウンは同僚のアレクサンダー・ジャクソン・デイヴィスとともに、ギリシャ復興様式とゴシック・リヴァイヴァル様式をアメリカに広めた建築家で、画面の様式はタウン自身が設計に用いたものでもあった。

来歴

所蔵館によれば、1839年、ニューヘイヴンの建築家タウンは、古代か近代のアテネの絵をコールに注文した。アテネを訪れたことのなかったコールは気が進まず、代わりにこの建築の空想画を描いた。絵は1840年にニューヨークのナショナル・アカデミー・オブ・デザインにタウンの所有として出品されたが、タウンは「風景が主となり、建築や歴史はさまざまで、それに従うものであってほしい」として受け取りを拒んだ。コールはひどく驚いて傷つき、自作の中でも最良の一つだと反論したが、タウンは最後まで受け取らず、コールも二度とタウンのために描かなかった。絵は売れないまま画家の家族のもとに残り、1949年にトレド美術館が、フローレンス・スコット・リビーの遺贈による基金で購入した。所蔵番号1949.162。

意義

所蔵館によれば、注文主に拒まれた本作は、いまではコールの最も有名で称賛される作品の一つとなっている。1972年にロンドンのロイヤル・アカデミーなどで開かれた「新古典主義の時代」展に出品され、2016〜2017年には、トマス・コール国定史跡とコロンバス美術館の展覧会「建築家としての画家トマス・コール」でも紹介された。雄大な自然の風景で知られる画家が、建築の歴史そのものを主題にした作品である。