《星月夜》
- 作者
- エドヴァルド・ムンク
- 制作年
- 1893年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 135.9 × 140.3 cm
- 所蔵
- J・ポール・ゲティ美術館 (84.PA.681)
- 時代
- 世紀末〜ポスト印象
青と緑が溶けあう夜空に星が散り、その光が静かな海に細く映る。右には黒々とした木立の塊がそびえ、手前には白い柵が斜めに走る。波打つ岸辺の線が、画面の奥から木立へと続いていく。
概要
《星月夜》(諾: Stjernenatt)は、ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクが1893年に描いた油彩の風景画である。縦135.9センチ、横140.3センチのほぼ正方形のキャンバスで、ロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館が所蔵する。左下に「EMunch」の署名がある。
画面の読み解き
所蔵館によれば、この夜の風景は、オスロの南にある小さな海辺の保養地オースゴールストランの海岸を描いている。ムンクは1880年代から毎夏をこの町で過ごした。右の抽象的な盛り上がりは木立の茂みを表し、手前には白い柵が斜めに走る。柵の上のぼんやりとした形は、ムンクの作品に繰り返し現れる主題である恋人たちの影かもしれない。岸辺の線は波打ちながら右の木立へと続き、星は水面に映り、木立のなかでは一筋の光が明るく輝く。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、ムンクは夜の絵になる眺めを記録するよりも、夜が呼び起こす感情をとらえようとした。青の色は、予感に満ちた風景の神秘と憂愁を伝える。厚さの異なる青と緑の絵具を混ぜ合わせて夜空の印象をつくり、厚く塗った部分と、空の明るい部分や天の現象を表すために地を塗り残した部分がある。
来歴
所蔵館によれば、1893年に画家オダ・クローグとクリスチャン・クローグの夫妻が、別の絵との交換で画家から手に入れた。のち1906年より前に探検家フリチョフ・ナンセンに売られ、1930年より前にヨハン・ヘンリク・アンドレセンの手に渡って、その家族に受け継がれた。1984年、ニューヨークの画商を通じて同館が購入した。所蔵番号は84.PA.681。
意義
所蔵館の文献一覧によれば、本作は1893年のベルリンでの個展をはじめ、ストックホルム(1894年)、パリのアンデパンダン展(1897年)、ベルリン分離派展(1902年)などに出品された可能性があり、1906年のコペンハーゲンのノルウェー美術展への出品は確かである。同館は、具体的な景色より感情を描こうとしたムンクの姿勢を示す作品と位置づけている。