《ルイ14世の肖像》
金の百合の紋を散らした青いビロードのマントを、白貂の毛皮の裏ごと大きく翻し、国王が玉座の前に立つ。大きな巻き毛のかつらにレースの襟、白い絹の靴下に赤いかかとの靴。右手で逆さに持った王笏を、王冠ののる座布団にあてる。
概要
《ルイ14世の肖像》は、フランスの画家イアサント・リゴーが1701年に描いた油彩の肖像画である。縦277センチ、横194センチの大画面で、パリのルーヴル美術館が所蔵する。所蔵館によれば、本作は歴史上の大きな出来事から生まれた。1700年、子のないまま没したスペイン王カルロス2世がルイ14世の孫フィリップ・ダンジューを後継者に指名し、国王は孫をスペイン王として描く肖像をリゴーに注文した。孫は祖父の肖像も同じ画家の手で望み、マドリードへ持っていこうとした。
画面の読み解き
所蔵館によれば、国王は君主のあらゆる象徴とともに描かれる。戴冠式のマントと聖霊騎士団総長の衣装をまとい、その首飾りを掛け、腰にはシャルルマーニュの剣を帯びる。手にするのは戴冠式のシャルルマーニュの王笏ではなく、アンリ4世の短い王笏で、それを逆さに持ち、百合の飾りを、アンリ4世の正義の手とフランスの王冠のそばの座布団にあてる。王冠は歴代の王の葬儀のために作られた軽い銀鍍金のものである。左の奥には力の象徴の柱が立ち、その台座には正義の寓意の浮き彫りがある。国王は力と正義の徳に支えられた王権そのものとして表されている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、リゴーはしばしばそうしたように、頭部を細かい布に描いて本体の画布に貼りつけている。右脚を前に出したポーズは、1686年にヴィクトワール広場に建てられたデジャルダン作の国王像にならったもので、若い頃からの国王の踊りへの情熱を思わせる。署名は正義の浮き彫りの上の帯と、絨毯とマントの境の2か所にある。
来歴
所蔵館によれば、完成した肖像を国王と宮廷はたいへん称賛し、国王は手もとに残して、孫のためにはリゴーに2枚目を描かせた。本作は署名と年記のある唯一の第1作で、1705年頃からヴェルサイユ宮殿の玉座の間であるアポロンの間の暖炉の上に掛けられた。革命で押収され、1814年にルーヴルへ移された。現在アポロンの間にあるのは第2作である。所蔵番号はINV 7492で、2026年10月時点では展示されていない。
意義
所蔵館によれば、本作は1714年から1716年にピエール・ドルヴェが版画にし、全身像や胸像の縮小版が数多く作られた。ポーズと演出は廷臣たちが真似る手本となり、1702年にはダンジョー侯爵が同じ姿勢の半身像をリゴーに注文している。フランス絶対王政を象徴する肖像として、ヨーロッパの宮廷の儀礼肖像の型を定めた作品である。