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《ルクレティアを手本とする女性の肖像》

Portrait of a Woman
《ルクレティアを手本とする女性の肖像》ロレンツォ・ロット
Wikimedia Commons / ロンドン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ロレンツォ・ロット
制作年
1530–1533年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
96.5 × 110.6 cm
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緑と橙の縞の豪華なドレスを着た若い女性が、髪飾りをつけてこちらを見すえる。右手に掲げた紙には、短剣で胸を突こうとする裸の女が描かれ、左手はその紙を指す。赤い布の机には文字を記した紙片と黄色い花が置かれ、左下には空の椅子がある。

概要

《ルクレティアを手本とする女性の肖像》(英: Portrait of a Woman inspired by Lucretia)は、イタリアの画家ロレンツォ・ロットが1530年から1533年ごろに描いた油彩の肖像画である。縦96.5センチ、横110.6センチの横長のキャンバスで、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。所蔵館によれば、豪華に着飾った若い女性が、古代ローマの貞女ルクレティアの素描を手にしている。

画面の読み解き

所蔵館によれば、リウィウスの『ローマ建国史』が伝えるルクレティアは、王子セクストゥス・タルクィニウスに辱められたのち自ら命を絶った。女性は、いままさに胸を刺そうとするルクレティアの素描を掲げ、それと机の上の紙を指し示す。紙にはルクレティアの最期の言葉がラテン語で記され、おおよそ「ルクレティアにならえば、貞節を失った女に生きる言い訳はない」という意味になる。机の黄色いニオイアラセイトウはイタリアのありふれた野の花で、恋人への贈り物にされることもあった。空の椅子は、不在の夫をほのめかすのかもしれない。女性は金の結婚指輪をはめ、二人のプットーと二つの豊穣の角をあしらった、花嫁の首飾りと呼ばれる宝石の飾りを胸元に挟んでいる。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、女性はルクレティアの手本に従うことを示しているようだが、犠牲者としては描かれていない。まっすぐで自信に満ちたまなざしは珍しく、身振りと表情の力強さは、当時の女性の肖像の決まりから外れている。横長の画面は、ロットがしだいに多く用いた新しい形式で、象徴や文字を置く余地をつくる。主に男性の肖像に使われた形式だった。素描の下には、頭の向きが逆で腕を高く上げた、色のついた最初のルクレティアの姿が見え、背景にはもとは桃色や紫、青の縦縞があった。

来歴

所蔵館によれば、1797年10月までにはヴェネツィアのペーザロ宮にあったとみられる。1828年にアバーテ・チェロッティからジェームズ・アーヴァインの手に渡り、1855年にロバート・ホルフォードが購入した。1927年7月15日のクリスティーズでのホルフォード家の売り立てののち、同館がベンソン家とアート・ファンドの援助を得て購入した。額は1962年に本作のために買われた16世紀イタリアのカッセッタ型の額である。所蔵番号はNG4256。

意義

所蔵館によれば、モデルの名もルクレツィアだった可能性が高く、ペーザロ家に嫁いだヴェネツィアの貴婦人ルクレツィア・ヴァリエとみる説がある。リボンのついた帽子「スクフィア」は一部が人の髪で作られ、衣装とともに制作を1530年代初めとする手がかりになる。2018年にプラド美術館で開かれたロットの肖像画展にも出品された。