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《松林図屏風》

Pine Trees
《松林図屏風》長谷川等伯
Wikimedia Commons / 東京国立博物館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
長谷川等伯
制作年
1593–1595年
素材
紙 / 水墨
寸法
156.8 × 356 cm
所蔵
東京国立博物館 (A-10471)
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白い和紙の上に、墨の濃淡だけで松林が描かれている。右隻では、中ほどに濃い墨の松が寄り添って立ち、そのまわりの松は霧に溶けるように淡くかすむ。右端には、風にしなうように幹を傾けた松が立つ。

概要

《松林図屏風》は、安土桃山時代の絵師長谷川等伯が描いた水墨の風景画である。紙に墨で描いた六曲一双の屏風で、寸法は各隻とも縦156.8センチ、横356.0センチ。東京の東京国立博物館が所蔵し、1952年に国宝に指定された。所蔵館は16世紀の作とし、豊臣秀吉が天下を統一したころに描かれたと述べる。年記はなく、日本語版ウィキペディアによれば、作風の変遷から文禄2〜4年(1593〜1595年)ごろの作と推定されている。所蔵館は、日本の水墨画の最高峰ともいわれる作品とする。

画面の読み解き

所蔵館によれば、松林は四つほどの大きなまとまりに分けて描かれ、木々の間を風が通り抜けるように配置されている。墨のグラデーションが光の強弱をあらわし、霧に包まれた松林を生み出す。霧の晴れ間からは柔らかな光が差し込み、左隻の右上には遠く雪山がのぞく。近くで見ると激しい筆の勢いに圧倒されるが、距離をとると湿った空気に包まれた松林があらわれ、松の幹は能を舞うかのように風に揺れて見える。

技法・様式

紙本墨画。所蔵館によれば、松を描く筆には、穂先をいくつも重ねたもの、竹の先を細かく砕いたもの、藁を束ねたものが考えられているが、明らかではない。繊細でありながら迷いなく、一気に線を引いている。等伯は中国・南宋の画僧牧谿に私淑し、その水墨技法による自然描写、とりわけ大気の表現を学んだ。松林は「やまと絵」でしばしば描かれた日本の伝統的な主題で、等伯はそれを中国絵画から学んだ水墨で描き、日本の湿った大気を感じさせる墨一色の松林を生み出した。文化庁の国指定文化財等データベースは、狩野永徳と並び称される等伯が、荒々しい筆致で一気呵成に仕上げたような画面に、霧に包まれた松林の雰囲気を表し尽くしたと評する。

来歴

所蔵館によれば、本作はあるときに屏風に仕立てられたもので、乱れた紙継ぎなどから、もとは下絵(草稿)だったともいわれる。一方で艶のある上質な墨がふんだんに使われ、画面に捺された印は基準的な印影と異なる。画面の左右両端では松の枝が途切れており、風景がさらに広がっていたことも想定できる。日本語版ウィキペディアによれば、本作が世に知られるようになったのは1932年で、1934年に旧国宝に指定された。所蔵番号はA-10471。

意義

所蔵館は、さまざまな謎に包まれた作品としながらも、等伯が日本の伝統的な主題と中国から学んだ水墨表現を結びつけ、日本の風土の豊かな形象をみごとにあらわしたとする。国指定文化財等データベースも、桃山時代の絵画を代表する一作、日本の水墨画を代表する遺品のひとつと位置づけている。