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《ネヴァモア》

Nevermore
《ネヴァモア》ポール・ゴーギャン
Wikimedia Commons / コートールド・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ポール・ゴーギャン
制作年
1897年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
60.5 × 116 cm

草花の模様の壁に囲まれた部屋で、裸の若い女性が黄色い枕に頬をのせて横たわる。目は開いたまま、背後に気配を向けている。奥では二人の人物が語り合い、窓辺には一羽の鳥がとまる。

概要

《ネヴァモア》は、フランスの画家ポール・ゴーギャンが1897年に描いた油彩の横たわる裸婦で、ロンドンのコートールド・ギャラリーが所蔵する。館の記録では、キャンバスに油彩で、縦60.5センチ、横116センチ。所蔵番号はP.1932.SC.163で、館の展示室に展示されている。館によれば、ゴーギャンが二度目にして最後となるタヒチ滞在中の1897年2月に描いた作品である。左上には「NEVERMORE」の題と「P. Gauguin 97」の署名、「TAITI」の文字が書き込まれている。

画面の読み解き

館の解説によれば、ヨーロッパの白人男性の見る者に向けて描かれた官能的な横たわる裸婦は、長い美術の伝統に属する主題である。ゴーギャンはそこに異国の趣を加え、友人に宛てて、この裸婦は「ある種の、失われて久しい野蛮な贅沢」を思わせるものだと書いた。画面では、草花の模様の壁に囲まれた部屋で、若い女性が黄色い枕に頬をのせて横たわっている。館は、女性はくつろいでいるのではなく、背後の鳥と、悪霊かもしれない奇妙な人物たちに不安げに気づいているとする。奥の戸口では二人の人物が語り合い、左上の窓辺には一羽の鳥がとまっている。

技法・様式

館によれば、本作は美しさと官能に、強い不安の感覚を結びつけた落ち着かない絵である。題は窓辺の鳥を、エドガー・アラン・ポーの詩「大鴉」(1845年に発表、1875年に仏訳)と結びつける。詩では、恋人の死に狂った詩人が、大鴉が「ネヴァモア(もう二度とない)」と繰り返すのを聞き続ける。館は、この喪失の感覚が、フランスの統治と宣教によってタヒチの文化が壊されたことへのゴーギャンの幻滅を暗示するとも見られてきたとする。

来歴

館の記録によれば、本作は1897年にゴーギャンがタヒチからパリの友人ダニエル・ド・モンフレーに送り、1898年に作曲家フレデリック・ディーリアスが買い取った。1922年頃、ロンドンのグーピル画廊を通じてマンチェスターのハーバート・コールマンの手に渡り、1924年7月以前に実業家サミュエル・コートールドが購入した。1932年、コートールドの寄贈によって館の収蔵品となった。2019年から2020年にかけて、東京・名古屋・神戸を巡回した「コートールド美術館展」にも出品された。

意義

館は、現代の見る者にとって最も心をざわつかせるのは、裸婦の若さだとしている。女性は、ゴーギャンが「妻」とした15歳のパフラとされることがある。館によれば、ゴーギャンが思い描いた汚れのない楽園の代わりに見いだしたのは、数十年の植民地支配で変わってしまった社会だったが、そのことはゴーギャンが植民者としての立場を利用することを妨げなかった。パフラは、ゴーギャンが「妻」とした何人かの十代の少女の一人であり、タヒチの少女を早熟とみなす人種差別的な幻想が、あからさまな搾取につながった。館の解説は、作品の美しさとともに、こうした背景をはっきりと記している。