《マネとマネ夫人像》
白い布を掛けたソファに、黒い服のマネが身を横たえ、片手をあごに当てて耳を傾ける。右には灰色のドレスの夫人が後ろ向きに座るが、その先は切り取られ、継ぎ足された無地の布が画面の右側を覆う。
概要
《マネとマネ夫人像》は、フランスの画家エドガー・ドガが1868年から1869年に描いた油彩画で、福岡県の北九州市立美術館が所蔵する。館の収蔵品データベースでは縦65センチ、横71センチのキャンバス。友人の画家エドゥアール・マネとその妻を描いて夫妻に贈った肖像画だが、右側が切り取られ、新しいカンヴァスが継ぎ足された姿で伝わる。館は1974年の開館を記念してこの絵を購入した。
画面の読み解き
館の解説によれば、夫人がピアノを弾き、その後ろでマネが聴いている。白い布を掛けたソファに黒い服のマネが身を横たえ、片手をあごに当てて耳を傾ける。右には灰色のドレスの夫人が後ろ向きに座るが、その先の画面は切り取られ、継ぎ足された無地の布が右側を占めている。館は、それがマネ夫人の顔を消すような形になっていると記す。
技法・様式
館によれば、本作は印象派が生まれる直前、若いドガとマネが友人であり、よきライバルでもあった時期に描かれた。ある説では、マネが妻の描かれ方に不満を抱いてカンヴァスの一部を切り取り、のちにそれを見たドガが怒って絵を持ち帰ったという。切り取りの経緯はいまも謎のままである。継ぎ足された布は、ドガの死後にアトリエで見つかったこの絵に、画商が加えたものと伝えられる。
来歴
館によれば、本作はのちに実業家松方幸次郎の収集に入って日本にもたらされた。1974年、北九州市立美術館が開館を記念して購入し、大きな話題を呼んだ。
意義
メトロポリタン美術館の発表によれば、本作は2023年にパリのオルセー美術館とニューヨークのメトロポリタン美術館で開かれた「マネ/ドガ」展に、ドガが描いたマネの素描4点や関連の版画とともに出品され、二人の関係に入った最初の亀裂を示す作品として紹介された。館では2024年10月、この絵をめぐる劇団「飛ぶ劇場」の演劇『切り裂かれたカンヴァス』が上演され、上演後に作品を展示室で鑑賞する時間も設けられた。