《シルク・フェルナンドのマドモアゼル・ララ》
- 作者
- エドガー・ドガ
- 制作年
- 1879年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 117.2 × 77.5 cm
- 所蔵
- ロンドン・ナショナル・ギャラリー (所蔵番号NG4121)
- 時代
- 写実・印象派
- 流派
- 印象派
橙色の天井と緑の梁を背に、若い女性が宙に浮かぶ。口にくわえた綱一本で吊り上げられ、両腕を広げ、脚を曲げて体をそらす。紫がかった衣装には金と白の縁飾りが光る。見る者はサーカスの客席から、彼女を真下近くから見上げている。
概要
《シルク・フェルナンドのマドモアゼル・ララ》(英: Miss La La at the Cirque Fernando)は、エドガー・ドガが1879年に描いた油彩画である。縦117.2センチ、横77.5センチのキャンバスで、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。所蔵館によれば、パリのサーカス、シルク・フェルナンドの花形だった曲芸師ミス・ララが、演技の最中に天井から吊り下げられた姿を描いている。同年4月の第4回印象派展に出品された。
画面の読み解き
所蔵館によれば、ララは口にくわえた綱で吊り上げられ、天井へ向かって回りながら昇っていく。ドガは見る者を客席に置き、彼女を下から見上げさせる。顔はほとんど見えず、ララは画面の左上を占め、残りの大部分を建物の天井が埋める。橙色の天井には緑の梁が走り、窓の並ぶ壁と、金の柱頭をのせた柱のアーチが斜めに傾いて見える。衣装は紫がかった色に金と白の縁飾りで、肌や脚の色と対比をなす。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれ、裏打ちされていない。所蔵館によれば、ドガはいくつもの習作でララのポーズを調整したが、最も苦心したのは天井と建築の短縮法で、腕のよい製図家の助けを借りたと伝えられる。体の向きは梁の対角線と垂直線に呼応している。円形の舞台や観客を描くことの多いサーカスの絵と違い、ドガは真上を見上げた。下から見上げる天井画で知られるティエポロに学んだのかもしれないという。
来歴
所蔵館によれば、本作は1925年にコートールド基金によって同館が購入した。所蔵番号はNG4121で、17世紀イタリアの額に収められている。2024年6月から9月には、ララの写真や初公開となるドガの素描とともに本作を紹介する展覧会が同館で開かれた。
意義
同館の展覧会の発表によれば、ララ(本名アンナ・アルベルティーヌ・オルガ・ブラウン、1858〜1945年)は、当時プロイセン領だったシュチェチンで、ヨーロッパ人の母とアフリカ系アメリカ人の父のもとに生まれた。ドガは1879年1月、新しく建ったシルク・フェルナンドに通ってその技と優美さに魅せられ、数週間後に本作を仕上げた。本作は、その印象派展で最も大胆で現代的な作品の一つだった。