《青い服の婦人》
- 作者
- ポール・セザンヌ
- 制作年
- 1899–1904年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 90 × 73.5 cm
- 所蔵
- エルミタージュ美術館
- 時代
- 世紀末〜ポスト印象
- 流派
- ポスト印象派
花飾りのついた黒い帽子をかぶり、青い上着を着た女性が、赤と緑の模様の布をかけた机に片腕をのせて座る。背後には板張りの壁と暗い色のカーテンが見え、女性は目を伏せて静かに物思いにふけっている。
概要
《青い服の婦人》(仏: La Dame en bleu)は、フランスの画家ポール・セザンヌが晩年の1900年前後に描いた油彩の肖像画である。縦90センチ、横73.5センチ。青い服を着て帽子をかぶった女性が、模様のある布をかけた机のそばに座る。ロシアの実業家セルゲイ・シチューキンの旧蔵品で、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が所蔵する。
画面の読み解き
女性は白い花飾りのついた黒い帽子をかぶり、襟の高い青い上着とスカートを着て、上体をわずかに傾けて座る。片腕は赤と緑の模様の布をかけた机にのせ、もう一方の手は膝の上に置く。背後には縦に板を張った壁があり、左には暗い色のカーテンが下がる。セザンヌの作品総目録(カタログ・レゾネ)は、この布を緑と錆色の花模様の布として索引に挙げる。画商ヴォラールの在庫台帳には「帽子をかぶって座る女、敷物をかけた机にもたれる」と記された。モデルについて、英語版ウィキペディアはエルミタージュ美術館の記載を出典に、画家の家政婦ブレモン夫人とする。一方、総目録はモデルを特定していない。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。上着の青は、明るい水色から濃い紺までの色の面を重ねて組み立てられ、形は暗い青の線で囲まれる。制作年は研究者によって分かれる。総目録によれば、ヴォラールの資料に残る写真には「1899」と書き込まれ、美術史家ヴェントゥーリは1900〜1904年、レフは1900〜1902年頃、リウォルドは1904年頃とした。2016年にパリのルイ・ヴィトン財団で開かれたシチューキン・コレクション展では、「1899年頃」の作として紹介された。総目録は、エクス=アン=プロヴァンスのブールゴン通りのアトリエを制作の場として挙げている。
来歴
総目録によれば、本作は画商アンブロワーズ・ヴォラールの手を経て、1909年1月にモスクワのシチューキンが手に入れた。ヴォラールの台帳では92×73センチ、500フランとされる。ルイ・ヴィトン財団の展覧会資料によれば、ロシア革命のあとの1918年10月にシチューキンのコレクションは国有化され、のちに国立新西洋美術館の中心となった。1948年3月、スターリンの命令で同館が解体され、収蔵品はモスクワのプーシキン美術館とレニングラードのエルミタージュ美術館に分けられた。本作はこのときエルミタージュ美術館に移った。所蔵番号はГЭ-8990。
意義
総目録の展覧会歴によれば、館外でも1977〜78年のニューヨーク近代美術館の「セザンヌ 晩年の作品」展、1995〜96年のパリ・ロンドン・フィラデルフィアを巡回した回顧展、2017年のオルセー美術館の「セザンヌの肖像」展(パリ会場のみ)などに出品された。2016〜17年のシチューキン・コレクション展では、女性の肖像を集めた第7室に並んだ。同展の資料によれば、女性の肖像は風景に次いでシチューキンのコレクションで数の多い主題で、モデルたちは心ここにあらずというように目覚めたまま夢を見る姿をとる。資料はそこに、主題から解き放たれて革新されていく近代の絵画を見ている。