《嫉妬》
- 作者
- エドヴァルド・ムンク
- 制作年
- 1895年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 67.5 × 100.6 cm
- 所蔵
- コーデ・ベルゲン美術館
- 時代
- 世紀末〜ポスト印象
- 流派
- 象徴主義
果樹の下で、前の開いた赤い衣をまとう裸の女が木の実に手を伸ばし、黒い服の男が横顔を見せて向き合う。その右手前では、赤いあごひげの男が青白い顔をこちらに向け、背を丸めて見すえる。左端には黄色い壁と赤い花。
概要
《嫉妬》(ノルウェー語: Sjalusi)は、ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクが1895年に描いた油彩画である。縦67.5センチ、横100.6センチ。果樹の下で向き合う恋人たちと、手前でこちらを見すえる男を描く。ノルウェー西部のコーデ・ベルゲン美術館が所蔵し、館はムンク収集の代表作の一つに挙げる。
画面の読み解き
所蔵館の目録によれば、画面には、正面を向いて目を据えた、耳の張り出した、口ひげと赤いあごひげの男の頭が描かれ、その左奥に、男と、前の開いた赤い衣をまとう長い髪の裸の女が、実り豊かな果樹の下に立つ。ドイツ語版ウィキペディアによれば、画面はほぼ同じ大きさの左右に分かれる。右の男は背を丸め、あごを肩より低く沈めて、見る者に正面から向き合う。左では、女が右手で木の赤い実に手を伸ばし、隣の男は横顔を見せて女のほうを向く。恋人たちの顔は目鼻のない赤い色の斑点にすぎず、女の髪のひと房が男に触れている。左端の黄色い壁の前には赤い花が咲き、美術史家アルネ・エッグムはこれを「血の花」と見た。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば「E.M 95」と署名があり、年の最後の数字は不明瞭で「5」と推定されている。ドイツ語版ウィキペディアによれば、手前の男の青白い顔は、茶色の上着と暗い緑の背景がひとつに溶け合う暗い面から強く浮かび上がる。恋人の男は、もう一人の男と同じ茶色の服を着るが、赤い筆の線で縁どられている。美術史家ペトラ・レティヒは、嫉妬する男を正面向きに置いたことが、画面の表現を強めていると指摘する。
来歴
所蔵館によれば、ベルゲンの実業家ラスムス・メイエルが1909年から所蔵した。館の案内によれば、メイエルはムンク本人と緊密に協力しながら、その画業の展開をたどれるように作品を集めた。1916年にメイエルが没すると、本作は同年、遺族からベルゲン市に寄贈され、1924年からはラスムス・メイエル・コレクションに属する。所蔵番号は RMS.M.00242。現在はこのコレクションの常設展に並ぶ。
意義
ドイツ語版ウィキペディアによれば、本作は愛と死を主題とする作品群「生命のフリーズ」に属する。手前の男にはポーランドの作家スタニスワフ・プシビシェフスキが、恋人たちにはその妻でノルウェーの作家ダグニー・ユールとムンク自身が重ねられてきた。三人は、ベルリンの酒場「黒い子豚」に集った芸術家の仲間だった。エッグムは、実を摘む女にアダムとイヴの堕罪を読み取るとともに、本作を、個人の体験を越えた嫉妬そのものの象徴とみなした。英語版ウィキペディアによれば、ムンクは生涯この主題に立ち返り、1930年代まで11点の油彩を描いたほか、リトグラフ4点とドライポイント1点を残した。本作はその最初の油彩である。