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《裸婦》

Female Nude
《裸婦》アメデオ・モディリアーニ
Wikimedia Commons / コートールド・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
アメデオ・モディリアーニ
制作年
1916年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
92.4 × 59.8 cm
時代
20世紀

くすんだ青緑の地を背に、裸の女性が赤い背もたれに身をあずけ、首を右肩のほうへ傾けて目を閉じる。長い黒髪が肩に流れ、ばら色の頬と細い首、なだらかな肩の線が、縦長の画面いっぱいに描かれる。

概要

《裸婦》(英: Female Nude)は、イタリア出身の画家アメデオ・モディリアーニが1916年ごろに描いた油彩画である。縦長のキャンバスで、ロンドンのコートールド・ギャラリーが所蔵する。所蔵館によれば、パリでエコール・ド・パリの画家の一人として活動したモディリアーニが、1916年から1917年にかけて描いた何点もの裸婦像の一つである。

画面の読み解き

縦長の画面に、裸の女性が腿のあたりまで大きく描かれる。女性は右の赤い背もたれに身をあずけ、首を右肩のほうへ深く傾けて目を閉じる。長い黒髪は肩から背へ流れ、両腕は体に沿って下ろされる。テートの調査によれば、閉じた目は三日月形の線で描かれ、まつげは乾く前の肌の色に黒を重ねて引かれている。背景はくすんだ青緑の地で、左にはわずかに家具の線が見え、右下には白い布がのぞく。左上には「modigliani」の署名がある。所蔵館によれば、女性の長く伸びた頭は、画家がパリの民族誌博物館で学んだエジプトやアフリカ、オセアニアの彫刻に通じる。赤らんだ顔、引っかいて描いた髪の筋、荒い筆づかいは、当時の型どおりの美の基準に逆らうものだった。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。テート美術館の研究誌に載った技術調査によれば、画面は縦に使った「30号マリン」の市販の画布で、もとの木枠が残る。膠の下地の上に淡い青緑、さらに白と黒を混ぜた青灰色の下地を重ね、その青灰色を人物の輪郭のまわりにわざと塗り残して、肌の桃色を際立たせた。体はまず扇形に開いた筆で軽くたたくように塗り、乾く前に表面をなめらかにならしている。画家は、まだ乾いていない右腕の上から青い背景の絵具を重ねて姿勢を変えた。この変更で、くびれた腰と張った腰回りの対比から腕が外れ、骨盤のあたりにいっそう目が向くようになった。

来歴

所蔵館の目録によれば、パリの画商レオポルド・ズボロフスキー、同じくパリのザマロン、再びズボロフスキーの手を経て、1928年までにサミュエル・コートールドが買い取り、1932年に寄贈した。所蔵番号はP.1932.SC.271で、ギャラリーの3階の「LVMH グレート・ルーム」に展示されている。同館によれば、パリのベルト・ヴェイユの画廊でモディリアーニの裸婦がまとめて初めて公開されたとき、警察は一部の絵の陰毛の描写を猥褻として展覧会を閉じさせた。日本では1984年と1997〜1998年のコートールド・コレクション展に出品され、2019〜2020年には東京都美術館と愛知県美術館の「コートールド美術館展 魅惑の印象派」に《裸婦》の題で並んだ。

意義

所蔵館は、本作が、ゆったりと落ち着いた姿の奥で、人物画の約束事を根本から組み替えていると評する。ヨーロッパの外の文化から取り入れた形と、西洋の理想化された裸婦の伝統を結びつけ、サロンの裸婦のつるりと仕上げた肌ではなく、荒々しい筆の跡を残した。その挑発は今もいくらか残っているという。テートの調査は、本作の速い描き方から、のちの裸婦では肌をより丁寧に仕上げる方向へ画家が進んだことを示している。