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《狂女フアナ》

《狂女フアナ》フランシスコ・プラディーリャ・オルティス
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フランシスコ・プラディーリャ・オルティス
制作年
1877年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
340 × 500 cm
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曇った冬の野で、黒い喪服の女王が夫の棺の前に立ちつくす。風にあおられる燭台のそばで侍女と修道士が祈り、右では焚き火のまわりに廷臣たちが疲れた顔で身を寄せている。

概要

《狂女フアナ》(西: Doña Juana la Loca)は、スペインの画家フランシスコ・プラディーリャ・オルティスが1877年に描いた油彩画である。縦340センチ、横500センチの大画面に、亡き夫フェリペの棺を見守るカスティーリャ女王フアナ1世を描いた歴史画で、プラド美術館が所蔵する。

画面の読み解き

館の解説(ホセ・ルイス・ディエス執筆、2007年)によれば、「狂女」と呼ばれたフアナ(1479〜1555)は、報われない愛と恋の病による狂気、果てしない嫉妬の物語の主人公である。夫は1506年9月25日に没した。画面は、夫の棺を見守る女王が一行とともに荒れ野で足を止めた場面である。皇帝の紋章を付けた棺は、取っ手のすり減った簡素な担架に載り、枕もとの2本の大ろうそくは風に消されそうになっている。風は焚き火の煙も野に流すが、火は厳しい寒さをほとんど和らげない。空は厚い雲に覆われ、夜が迫る。中央の女王は、厚い黒のビロードの喪服をまとって飾りのない折りたたみ椅子の前に立ち、その横顔は、のちのカタリナ王女を宿した身重の姿を示す。左手には2つの結婚指輪が光る。棺のそばでは若い侍女が祈禱書を膝に開いて女王を見守り、白い衣の修道士が祈りを読む。右では廷臣たちが火のそばや裸の木の脇に身を寄せ、その顔には疲れと退屈、女王への同情が浮かぶ。右奥の修道院は、女子修道院と知った女王が怒りをあらわにした場所で、左からは残りの一行が近づいてくる。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。館によれば、構図はX字形に組まれ、屋外の場面を描くプラディーリャの巧みさと、律動と均衡のある構成を示す。舞台装置のような装飾性は、若い日に舞台美術家マリアノ・ペスカドールに学んだことに結びつく。風景と大気が感情の緊張を高め、厳密な素描に基づく力強い写実と、自由で豊かな筆づかいが同居する。日本語版ウィキペディアによれば、X字の中心では、棺から奥へ向かう対角線と焚き火の煙が描く対角線が交わり、女王がドラマの主役として浮かび上がる。

来歴

館によれば、本作はローマで、在ローマ・スペイン美術学院の給費生が提出する3点目の作品として描かれ、1877年5月に同地で公開されて大きな評判を呼んだ。1879年に取得され、プラド美術館、近代美術館、スペイン現代美術館を経て、1971年に再び館に入った。所蔵番号はP004584で、第75室に展示されている。

意義

館によれば、本作はプラディーリャの最高傑作で、29歳の画家に国際的な名声をもたらし、19世紀の歴史画というジャンルを集約する点でほかのどの作品にも勝るかもしれない。カルメン・ティッセン・マラガ美術館の画家紹介によれば、1878年の全国美術展と同年のパリ万国博覧会で名誉賞を受け、画家は生涯この主題にとりつかれて多くの異作を描いた。当時は「プラディーリャ様式」とも呼ばれたが、館はこれを、19世紀最後の四半世紀のヨーロッパの歴史画に共通する国際的な写実主義のなかに位置づける。