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《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》

Carnation, Lily, Lily, Rose
《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》ジョン・シンガー・サージェント
Wikimedia Commons / テート・ブリテン / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジョン・シンガー・サージェント
制作年
1885–1886年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
174 × 153.7 cm
流派
印象派
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夕暮れの庭で、白い服の二人の少女が紙の提灯に火をともす。足もとにはカーネーションが茂り、頭上には大きな白いユリが咲く。枝のあいだに下がる提灯が、橙や桃色の光を放つ。

概要

《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》(英: Carnation, Lily, Lily, Rose)は、アメリカの画家ジョン・シンガー・サージェントが1885年から1886年にかけて描いた油彩画である。縦174センチ、横153.7センチのキャンバスで、ロンドンのテート・ブリテンが所蔵する。夕暮れの庭で提灯に火をともす二人の少女を、ほぼ等身大で描いている。

画面の読み解き

テートの音声解説によれば、描かれているのは、画家の友人の挿絵画家フレデリック・バーナードの娘たちである。左寄りで横顔を見せるのが11歳のドリー、右でこちらを向くのが7歳のポリーで、ともに首から膝下までを覆う白い夏服に黒い靴をはき、明るい茶色の髪を短く切っている。ドリーは左手に提灯を持ち、右手の長い付け木で火をつける。下から照らされた顔は、提灯の橙色の光に輝く。ポリーも同じように提灯に火をともし、二人とも真剣な表情を浮かべる。二人はひざの深さまでカーネーションのなかに立ち、まわりにはピンクや白のバラ、頭上には背の高いクリーム色のユリが咲く。枝や茎のあいだに渡した綱には、球形や筒形の提灯がほかにいくつも下がり、暗い葉を背に橙や桃色に光る。音声解説によれば、葉の色は日暮れの刻々と変わる光を受けて、上の明るい緑から下の青緑へと移っていく。画面はほぼ正方形だが、もとは左へさらに2フィートほど広く、画家が構図を中央に寄せるために切り落とした。

技法・様式

テートによれば、本作はサージェントが屋外で印象派のやり方によって描いた、数少ない人物画の一つである(戸外制作)。画家は毎夕、光がちょうどよくなる数分間しか描けず、あらかじめイーゼルと絵具を置き、少女たちにポーズをとらせて、薄紫がかった夕暮れの光を待った。秋になって花が枯れると、造花に替えた。作家エドマンド・ゴスは、画家がセキレイのように芝生を駆け寄っては素早く絵具を置き、また下がる様子を書き残している。翌日には、前の晩の仕事の大半を削り取って描き直した。サージェントの作品総目録を手がけるエレイン・キルマリーによれば、画家は提灯の輝きに橙色、肌に桃色の照り返し、服に白や藤色やピンク、影にくすんだ緑を使い、とらえにくい光の効果に近づけた。

来歴

テートによれば、着想は1885年、アメリカの画家エドウィン・オースティン・アビーとテムズ川を舟で旅したとき、パンボーンで木々やユリのあいだに下がる中国風の提灯を見たことにある(テートの解説は9月、キルマリーは8月とする)。画家はウスターシャーのブロードウェイにある画家F・D・ミレーの家に滞在して描き始め、はじめはミレーの5歳の娘をモデルにしたが、求める髪の色をもつバーナード姉妹に替えた。1885年9月から11月初めまで描き、1886年の夏にミレー家の新しい家ラッセル・ハウスで再び取り組んで、10月に仕上げた。1887年のロイヤル・アカデミーの展覧会で称賛と非難を同時に浴び、同年、チャントリー遺贈基金の理事会が買い上げて国に贈った。所蔵番号はN01615で、テート・ブリテンの第8室に展示されている。

意義

テートによれば、題名は1880年代に流行した、18世紀のオペラ作曲家ジョゼフ・マッツィンギの歌「花輪」から取られた。ブロードウェイではサージェントと仲間たちがよくピアノを囲んで歌い、歌は「私のフローラがこの道を通らなかったか」と問い、「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」と答える。キルマリーは、本作が庭づくりや花言葉、子ども時代の文化というイギリスの題材をもちながら、その戸外制作の美学はきわめてフランス的で近代的だと述べる。ロイヤル・アカデミーの記事によれば、1887年の展覧会でサージェントは「今年最も論じられた画家」と評された。