《コペルニクス、あるいは神との対話》
- 作者
- ヤン・マテイコ
- 制作年
- 1873年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 225 × 315 cm
- 所蔵
- ヤギェウォ大学博物館 (ヤギェウォ大学の所有(コレギウム・ノヴムの講堂に展示))
- 時代
- 写実・印象派
星の輝く夜、塔の上で、毛皮の縁取りの緑の衣をまとった男が膝をつき、片手を上げて星空を仰ぐ。かたわらには太陽を中心とする惑星の軌道を描いた図が立てかけられ、背後には大聖堂の尖塔がそびえる。
概要
《コペルニクス、あるいは神との対話》(ポーランド語: Astronom Kopernik, czyli rozmowa z Bogiem)は、ポーランドの画家ヤン・マテイコが1873年に描いた油彩画である。縦225センチ、横315センチのキャンバスで、クラクフのヤギェウォ大学が所有する。地動説を唱えた天文学者ニコラウス・コペルニクスの生誕400年を記念して描かれた歴史画で、ポーランドで最も愛される作品の一つとされる。
画面の読み解き
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの報道発表によれば、マテイコは地動説を発見する瞬間ではなく、すでに発見を終えたコペルニクスを描いた。天球の図はもう彼のかたわらにあり、画家は彼を、聖堂参事会員として仕えた町フロムボルクの大聖堂近くの塔の屋上に置き、神とその事柄を語り合う姿として描いた。コペルニクスは星の輝く空を背に、畏れに打たれたようにひざまずく。毛皮の縁取りの濃い緑の衣をまとい、右手を上げて空を見上げ、左手にはコンパスを持つ。左手前には太陽を中心に惑星の軌道を描いた図と、灯りのともるランプ、書物が置かれ、右には観測具の長い棒が斜めに突き出す。背後には大聖堂の赤れんがの尖塔が夜空に浮かぶ。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。屋上の床や欄干の木目、毛皮や布の質感、書物や観測具などの小道具が細かく描き込まれ、手前のランプの灯りが軌道の図を、空の光が人物の顔を照らし出す。同発表は、マテイコが国の歴史の重要な場面を、細部まで描き込んだ巨大な画面に描き、その出来事のポーランド人にとっての深い意味を表そうとしたとする学芸員クリストファー・リオペルの言葉を紹介している。
来歴
ヤギェウォ大学博物館によれば、本作はクラクフのスピシュ宮殿で初めて公開され、募金によって買い取られて、ヤギェウォ大学に寄贈された。1873年のうちにコレギウム・マイウスの講堂に掛けられ、4年後には新築のコレギウム・ノヴムに移って、いまもその講堂に展示されている。2021年5月21日から8月22日には、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの展覧会「神との対話」で初めてイギリスで公開された。2023年11月には、コペルニクスの生地トルンでも展示された。
意義
ロンドン・ナショナル・ギャラリーによれば、本作はクラクフで初めて展示されるとすぐに名声を得て、何千もの複製で広まった。当時ポーランドは分割されており、ドイツとポーランドがともにコペルニクスを自国の人と主張していた。本作は彼をはっきりとポーランド人として示し、国の象徴を求める人々の心をつかんで、ポーランドの文化的な自己認識の象徴となった。