クレジット方針 収録範囲について お問い合わせ
作品COLLECTION 画家ARTISTS 流派MOVEMENTS 時代PERIODS 所蔵MUSEUMS 様式史HISTORY 用語集GLOSSARY 検索SEARCH

《読書する娘》

Young Girl Reading
《読書する娘》ジャン=オノレ・フラゴナール
Wikimedia Commons / ワシントン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジャン=オノレ・フラゴナール
制作年
1769年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
81.1 × 64.8 cm
流派
ロココ
広告

黄色のドレスを着た少女が、大きな藤色のクッションにもたれて横顔を見せ、右手の小さな本に目を落とす。白いひだ襟と藤色のリボンが胸元と髪を飾り、左腕は手前の木の手すりに置かれている。

概要

《読書する娘》(英: Young Girl Reading)は、ジャン=オノレ・フラゴナールが1769年頃に描いた油彩画である。縦81.1センチ、横64.8センチ。ワシントン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。黄色のドレスの少女が、クッションにもたれて小さな本を読む姿を描いた。所蔵館は2013年から2015年にかけての調査で、本作がフラゴナールの「幻想の人物(ファンタジー・フィギュア)」と呼ばれる連作の一点であることを確かめた。ロココの画家フラゴナールの、最もよく知られた作品の一つである。

画面の読み解き

少女は左を向いて横顔を見せ、背後の大きな藤色のクッションに体をあずけて座る。右手に持った赤い表紙の小さな本に目を落とし、左腕は手前を横切る木の手すりに置かれている。金色がかった黄色のドレスには、白いひだ襟と胸元の白い布がつき、襟元と胸、そして後ろで結い上げた髪を、藤色のリボンが飾る。頬はほんのりと赤い。背景は暗い茶色の壁で、右端には明るい縦の帯がのぞく。本を読むことに没頭した一瞬の、静かな集中がとらえられている。

技法・様式

所蔵館の作品解説によれば、絵具は勢いよく置かれ、明るい部分は厚く盛り上げたインパスト、ほかは薄く溶いた絵具で描かれている。襟と胸元の布の灰色の陰の線は、乾く前の白い絵具を、筆の柄の端で引っかいてつけたものである。所蔵館は、フラゴナールの筆づかいが少女と同じくらいこの絵の主題になっているとしている。X線写真では、もとは羽根飾りの帽子の男の頭が下にあると考えられていたが、2013年から2015年にかけての赤外線を使った画像と、鉛白と朱の元素分布の分析によって、下の頭は、ビーズと羽根の頭飾りをつけ、顔をこちらに向けて見る者を見つめる女性だとわかった。下の層は塗り重ねで乱されておらず、描き直しまでに少なくとも半年がたっていたとみられる。

来歴

本作は1961年、エイルサ・メロン・ブルースが父アンドリュー・W・メロンを記念して所蔵館に寄贈した。2009年、美術史家リチャード・ランドは本作を「幻想の人物」の連作と結びつけた。この連作は、色あざやかな仮装の衣装をまとい、劇的なポーズをとった男女を半身で描いた一連の作品である。2012年には、フラゴナール自身の書き込みとみられる素描《肖像のスケッチ》がパリの競売に現れた。薄い紙に18の小さなスケッチが3段に並び、1点を除いて名前が書き添えられ、14点が「幻想の人物」の油彩と結びつけられた。これを機に、所蔵館の学芸員ユリコ・ジャッコール、画像科学者ジョン・K・デラニー、修復家マイケル・スウィックリックが2年にわたって本作を調べ、連作の一点であることを確かめた。

意義

所蔵館は2017年10月8日から12月3日まで、この素描と、それに結びつけられた14点ほどの油彩を集めた展覧会「フラゴナール 幻想の人物」を開き、本作もその一点として展示した。こちらを見つめる仮装の女性から、本に没頭する少女へ。画家が途中で絵の性格を大きく変えていたことは、筆の速さで知られるフラゴナールが、構想を練り直しながら描く画家でもあったことを示している。