《コロッセオ第3層の3つのアーチ越しの眺め》
- 作者
- クリストファー・エカスベア
- 制作年
- 1815年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 32 × 49.5 cm
- 所蔵
- デンマーク国立美術館
- 時代
- 新古典・ロマン
古代の円形闘技場の上の階から、石を積んだ3つのアーチ越しにローマの町を望む。手前には草の茂る床が続き、アーチの向こうでは日を受けた屋根や塔が連なる。空には白い雲が湧き上がる。
概要
《コロッセオ第3層の3つのアーチ越しの眺め》は、デンマークの画家クリストファー・エカスベアが1815年にローマで描いた油彩画で、コペンハーゲンのデンマーク国立美術館が所蔵する。館の記録では縦32センチ、横49.5センチの小さなキャンバスで、所蔵番号はKMS3123。館の展覧会目録はこれをエカスベアの最も名高い絵とする。館によれば、かつての題「コロッセオ第3層の北西の3つのアーチ越しの眺め、町の上に雷雲が湧く」は、画家自身が1828年のコペンハーゲン美術協会の展覧会で用いた題を少し言い換えたものである。
画面の読み解き
館の解説によれば、ローマに滞在した1813年から1816年に、エカスベアは町の古代遺跡、とりわけ円形闘技場コロッセオを数多く描き、建物の内側からの眺めもいくつも選んだ。本作では3層目に陣取り、そこにある3つのアーチを通してローマの町を描いている。どっしりとした石のアーチと草の茂る足もとが手前を囲み、その向こうに日を受けた屋根と塔が広がる。画家は1828年の展覧会の目録で、画面に見える建物の一つひとつまで詳しく説明している。
技法・様式
館によれば、画家は目にしたものを細部まで念入りに写したが、眺め全体は組み立てられたものである。中央のアーチの前に立つとその内側の眺めしか見えず、左右の眺めをすべて見るには、左へ2歩、右へ5歩動かなければならなかった。画家はアーチを使って、実際には少しずつ離れた3つの眺めをつなぎ、見どころの少ない部分を省いて、調和のとれた新しい全体を作り上げた。エカスベアはローマで、それまでデンマークの美術に無かった戸外制作を始め、本作も現地で対象を前にして仕上げた。遠景の細部を忠実に写すために、双眼鏡を使ったに違いないとされる。館の目録は、本作が1815年に描かれたとみられる構図の下描きのすぐ後に制作されたと推定する。
来歴
館によれば、本作は画家の没後、1854年の遺品の競売でバゲ教授が買い取った。その遺産を経て、1911年にO・バゲが館に売った。現在は館の217C室に展示されている。
意義
館は、現実の描写にしっかりと根ざしたエカスベアの芸術が、その後30〜40年のデンマーク絵画の土台を築き、デンマーク黄金時代と呼ばれる時代を生む助けになったと述べる。1818年に王立美術アカデミーの教授となった画家は、シャルロッテンボーの住まいで学生たちにローマで描いた作品を見せた。本作は2003年のワシントン・ナショナル・ギャラリーのエカスベア展や、2016年のハンブルク美術館のエカスベア展にも貸し出された。