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《ニューオーリンズの綿花商の事務所》

Un bureau de coton à la Nouvelle-Orléans
《ニューオーリンズの綿花商の事務所》エドガー・ドガ
Wikimedia Commons / ポー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
エドガー・ドガ
制作年
1873年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
73 × 92 cm
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薄緑の壁の明るい事務所で、黒い服の男たちが白い綿花を積んだテーブルのまわりで働く。手前ではシルクハットの老人が綿を手に取って調べ、中ほどでは椅子にもたれた男が新聞を広げ、右では男が帳簿に向かう。

概要

《ニューオーリンズの綿花商の事務所》は、フランスの画家エドガー・ドガが1873年にアメリカのニューオーリンズで描いた油彩画で、フランス南西部のポー美術館が所蔵する。文化省の収蔵品目録では縦73センチ、横92センチのキャンバスで、「Degas Nle Orléans」と署名がある。館の題は《Un bureau de coton à la Nouvelle-Orléans》で、所蔵番号は878.1.2。母方の叔父が営む綿花商の事務所の日常を描いた風俗画で、館はこれを館の象徴となった作品と紹介する。

画面の読み解き

館の解説によれば、手前で綿を手にする人物は画家の母方の叔父ミシェル・ミュッソンで、ほかに画家の二人の弟も描かれている。アシルはガラスの仕切りに肘をついてもたれ、ルネは新聞『デイリー・ピカユーン』を読んでいる。皮肉にも、この新聞は1873年2月1日に会社の倒産を報じることになる。画家は友人の画家ティソに宛てた手紙で、この絵を、15人ほどの人々が貴重な綿を載せたテーブルのまわりで立ち働き、身をかがめた買い手と半ば腰掛けた仲買人が見本について話し合う場面だと説明している。

技法・様式

館によれば、ドガは古典の伝統から受け継いだ正確な素描で商人たちの日々のしぐさをとらえ、構図は日本の浮世絵と写真から借りている。画面は綿を載せたテーブルがつくる対角線を軸に組み立てられ、手前の叔父の姿は画面の端で断ち切られている。この切り取りが場面に動きを与え、仕事に没頭する人々の静けさと対照をなす。抑えた微妙な色づかいのなかで、真の主役である綿が、床や上着の黄土色、服の黒、壁のアーモンドグリーンのなかに白く光る。画家は窓越しに眺めるようにして、19世紀に勢いを増した近代産業の一瞬を、時が止まったように描いた。

来歴

館によれば、1872年10月、ドガは仕事でフランスとイギリスを回ったニューオーリンズ在住の弟ルネとともに渡米し、6か月の滞在から18点の絵を持ち帰った。1873年1月には滞在を3か月延ばし、毎日通った叔父の事務所を描いた。画商アグニューを通じてマンチェスターの繊維業者ウィリアム・コトリルに売るつもりだったが、注文主の好みと1873年の経済恐慌で実現しなかった。1876年の第2回印象派展には「事務所の肖像(ニューオーリンズ)」の題で出品された。1878年、ポーの美術愛好家協会のサロンに出たところを、弁護士エミール・ヌリボが館に遺した年8,000フランほどの購入資金で、2,000フランで買い上げられた。これがヌリボの遺贈による最初の購入だった。

意義

館によれば、購入を決めた館長シャルル・ル・クールらの委員会は、館の象徴となる作品を手に入れたことをまだ知らなかった。ドガは1878年3月31日のル・クールへの手紙で、美術館に選ばれたのはこれが初めてで、その公の評価に驚き、たいへん光栄に思うと感謝を伝えている。