
フランソワ・デュモン《マルグリット・ジェラール》(1793年、細密画、ウォレス・コレクション)
Wikimedia Commons / ウォレス・コレクション / Public domain- 生没年
- 1761–1837年
- 国籍
- フランス
- 様式
- ロココ
マルグリット・ジェラール
1761年に南フランスのグラースで生まれ、1837年にパリで没した画家。義兄フラゴナールに学んで共作を重ね、つややかな衣装の描写で、上流や中流の家庭の情景を描いた。
略歴BIOGRAPHY
生涯
1761年、南フランスのグラースに生まれた。姉マリー=アンヌは同郷の画家ジャン=オノレ・フラゴナールの妻である。パリ市立美術館群(パリ・ミュゼ)によれば、1770年代半ばからパリに出て、ルーヴル宮にあったフラゴナールの住まいで暮らし、その弟子、助手、共作者となった。ワシントン・ナショナル・ギャラリーは、1778年に彼女がフラゴナールの原画から制作した、アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンをたたえるエッチングを所蔵している。1780年代の終わりに画家として独り立ちした。ウォレス・コレクションによれば、女性の会員を4人に限っていた王立絵画彫刻アカデミーには入れなかったが、革命ですべての画家に開かれたサロンに出品するようになった。1837年、パリで没した。
様式の変遷
ハーヴァード美術館群によれば、《最初の一歩》(1780〜1785年頃)のような作品は、フラゴナールとの緊密な共作から生まれた。豪華な布の描写と母親たちの顔の繊細な筆づかいに弟子の手が表れ、彼女は1790年までに一人の画家として頭角を現した。1988年にメトロポリタン美術館が開いたフラゴナール展の図録は、冷たい色調、銀色がかった白、硬く細かく描いた衣のひだを彼女の好みとする。美しく装った上流や中流の母親たちを好んで描き、簡素な構図、止まったような芝居がかったポーズ、陶器のように整った仕上げを特徴とした。パリ・ミュゼによれば、革命の年1789年のころからは、小さく親密な肖像画も手がけた。
代表作
《最初の一歩》(フラゴナールとの共作、1780〜1785年頃、ハーヴァード美術館群)、ワシントン・ナショナル・ギャラリーが2025年に購入した対の風俗画2点(1788〜1789年)がある。伝統的にフラゴナールの作とされる《盗まれた接吻》(1780年代後半、エルミタージュ美術館)にも、彼女の手をみる研究者が多い。
影響
ウォレス・コレクションは、18世紀後半を代表する風俗画家の一人で、フランスで最初の重要な女性の風俗画家と評する。フラゴナールとの共作や、どちらの手かの区別は、1970年代から美術史家ピエール・ローザンベールやサリー・ウェルズ=ロバートソンらが論じてきた。1988年の図録でローザンベールは、彼女の展覧会はいつ開かれるのかと問いかけている。2009年、パリのコニャック=ジェイ美術館が、共作を含む絵画と素描60点による展覧会「マルグリット・ジェラール 1789年の画家、フラゴナールのアトリエで」を開いた。