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《海辺の散歩》

Paseo a la orilla del mar
《海辺の散歩》ホアキン・ソローリャ
Wikimedia Commons / ソローリャ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ホアキン・ソローリャ
制作年
1909年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
205 × 200 cm
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浜風の吹く海辺を、白いドレスの二人の女性が歩いてゆく。左の女性は大きな麦わら帽子を押さえ、顔を覆う薄いヴェールと開いた白い日傘が風にあおられる。右の若い女性は帽子を手に提げ、顔を横に向けて歩く。

概要

《海辺の散歩》(西: Paseo a la orilla del mar)は、スペインの画家ホアキン・ソローリャが1909年に描いた油彩画である。縦205センチ、横200センチのほぼ正方形の大画面で、マドリードのソローリャ美術館が所蔵する。画家の妻クロティルデと長女マリアが、故郷バレンシアの浜辺を散歩する姿を描く。所蔵館はこれを館を代表する作品とし、画家の円熟期の頂点に置く。

画面の読み解き

画面いっぱいに、白いドレスの二人の女性が浜辺を歩く。所蔵館の目録によれば、左の年長の女性は広いつばの麦わら帽子をかぶり、右手で押さえた薄いヴェールで浜風から顔を守り、左手には開いた白い日傘を持つ。右の若い女性は顔をあらわにして歩き、帽子を右手に提げている。二人の長い影が、暗い色の砂の上に落ちる。画面の上の帯には、白い泡の線を引いた暗い海が見えるだけで、水平線は描かれない。目録によれば、画家は視点をわずかに上から取ることで水平線を消し、青や藤色、ターコイズグリーンの長い筆触で描いた水と砂を、洗練された人物の背景にした。ドレスやヴェールが風に波打つさまが、その一瞬の印象を強める。額の縁が年長の女性の帽子を切り取り、下には何もない砂の帯を残す構図は、写真のような切り取り方である。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。左下に「J. Sorolla B / 1909」の署名と年記があり、所蔵館はこれに基づいて1909年夏の作とする。目録によれば、大きな画面、大胆な構図、技法と表現の自由さは、画家が自らの道に抱いていた確信を映す。白いドレスの影の部分には青や藤色が置かれ、日差しの当たる白との対比で布のふくらみが表される。

来歴

所蔵館の目録によれば、本作はアメリカで大きな成功を収めた直後の1909年夏に、バレンシアの浜辺で描かれた戸外制作の作である。1911年にはシカゴ美術館とセントルイス市立美術館の個展に「バレンシアの浜辺の散歩」の題で出品された。画家の息子で館の初代館長ホアキン・ソローリャ・ガルシアが1941年の遺言でソローリャ美術館財団に遺した絵の一つで、財団から館に寄託されている。所蔵番号は00834。画家のアトリエだった館の第3室に掛けられている。

意義

所蔵館の目録によれば、同じ浜辺を舞台にしながら、漁師が働く姿や子どもたちが海で遊ぶ姿を描いたバレンシアの浜辺の場面とは趣が大きく異なる。本作は、着飾った裕福な人々が海辺を訪れる「優雅な散歩」の図像に属し、スペインの観光の黎明期に、市民層や貴族が浜辺を新しい社交の場に変えたことを映している。2006〜2007年のマドリードとパリの「サージェント/ソローリャ」展、2009年のプラド美術館の回顧展、2019年のロンドン・ナショナル・ギャラリーの展覧会にも出品された。