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《ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス》

Aristotle with a Bust of Homer
《ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス》レンブラント・ファン・レイン
Wikimedia Commons / メトロポリタン美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
レンブラント・ファン・レイン
制作年
1653年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
143.5 × 136.5 cm
所蔵
メトロポリタン美術館 (61.198)
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暗い部屋で、黒い帽子に白い袖の衣の老哲学者が、右手をホメロスの胸像の頭に置き、物思いに沈む。肩から斜めに下がる金の鎖には、王の横顔のメダルが光っている。

概要

《ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス》(英: Aristotle with a Bust of Homer)は、オランダの画家レンブラント・ファン・レインが1653年に描いた油彩画で、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する。縦143.5センチ、横136.5センチのキャンバスで、胸像の台座に「Rembrandt.f:/ 1653」の署名と年記がある。所蔵館によれば、シチリアの貴族ドン・アントニオ・ルッフォ(1610/11〜1678)の注文で描かれ、1654年の夏にアムステルダムからメッシーナの館へ送られた。館の目録は本作を、アメリカにある最も重要なオランダ絵画と呼ぶ。

画面の読み解き

古代ギリシャの哲学者アリストテレス(前384〜前322)が、『イリアス』『オデュッセイア』の叙事詩人ホメロスの胸像に手を置いている。所蔵館によれば、哲学者は教え子アレクサンドロス大王の肖像を刻んだ金のメダルを下げており、自らの世俗の成功を、ホメロスの不朽の業績と引き比べているのかもしれない。館の目録が紹介する美術史家ジュリアス・ヘルドの1969年の解釈では、影に沈んだ目は何も見ておらず、動きを止めた姿勢とあわせて深い思索を示す。胸像が表す謙虚さや言葉と思想の偉大さと、王から贈られた鎖が表す富と栄誉という、二つの価値を比べているという。

技法・様式

館の目録によれば、本作は目の肥えた注文主のための名人芸の見せ場で、白い衣の質感と量感、ひだのリズムは、1650年代のレンブラントの衣の描写のなかでも際立つ。黒い前掛けは傷んでいるが、絵具を厚く盛った(インパスト)鎖の輪と光を引き立てる役目を今も果たしている。毛皮の縁取りの茶色の外套が、明るく照らされた袖と暗い周囲をつないでいる。所蔵館は、アムステルダムではレンブラントの暗い色調と厚塗りが流行から外れつつあった時期に、イタリアの注文主のために描かれた作品だと記す。

来歴

館の目録によれば、1654年9月1日付のルッフォの目録に、アムステルダムで描かれた「哲学者の半身像(アリストテレスかアルベルトゥス・マグヌスらしい)」として記録されている。ルッフォはのちにアレクサンドロス大王(失われた)とホメロス(マウリッツハイス美術館)の絵もレンブラントに注文した。本作は少なくとも1783年までルッフォ家にあり、1810年にロンドンで売られた。1907年に画商デュヴィーンがパリからニューヨークへ運び、アラベラ・ハンティントンが買った。1928年に息子アーチャーがデュヴィーンに売り戻し、のちアルフレッド・エリクソンの手に渡った。1961年11月15日、その未亡人の遺品の売り立てで同館が購入した。

意義

館の目録によれば、本作は、同館が寄贈や遺贈ではなく購入によって手に入れた唯一のレンブラント作品である。かつての題「ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス」は1936年に美術史家ブレディウスが用い、1961年の売り立ての目録から広まった。同館の学芸員ジョン・ウォルシュは1972年に、見る人が哲学者の思いの幅を自由に味わえるよう、より限定の少ない現在の英題に改めた。